お客様は選べない!
あるJR駅前のタクシー乗場でのことです。
杖をついて大きな荷物を持った、70代くらいの女性が列に並んでいました。
順番が回ってきて、その女性の前でタクシーの自動ドアが開き、乗り込もうとした時です。
大きな荷物でバランスを崩した女性は転んでしまい、紙袋の中のものは散乱してしまいました。
丁度私の目の前で起きたことだったので、慌ててその女性を助け起こし、散乱した荷物を拾いました。
その騒ぎの中、タクシーの運転手は座席から動こうともせず、その女性客が座席に納まるのを黙って待っていました。
明らかに自分の車に乗ろうとしている、それも足の悪い「お客様」に対して、これは余りにもひどい対応でした。
私が当時者なら、当然運転手とタクシー会社に文句のひとつも言いますし、第一そんな不親切なタクシーには乗りません!
しかし、当事者の女性は「すみませんね」と言いながら、そのタクシーに乗って行きました。
いつもタクシー乗場では、当たり前のように、並んだ順番で来たタクシーに乗っています。
考えてみれば、ショッピングでも飲食店でも同じです。
初めて入った店で、お客様はスタッフを選ぶことはできません。
もちろん不満があれば、もう来なければ良いのですが、それではお店やブランドとお客様とのせっかくの出会いが無意味なものになってしまいます。
接客スタッフが、最初にお客様に対してしなくてはならいないことは、自分の店舗、ブランドの印象を高めることです。