◆健康リテラシーで人生の成功者に
織田信長が謡った「人間50年、下天のうちを比ぶれば夢幻の如くなり」の頃から、人生50年と言われてきましたが、日本人の生涯寿命が50歳を初めて超えたのは1947年なのです。でもそれ以降は、戦後の高度経済成長と歩調を合わせるように急速に伸びて、今では女性87歳/男性81歳になりました。
65歳時点で存命であれば、女性の2人に1人/男性の4人に1人が90歳を超えます。病床の人も含めての平均値ですので、人生90年時代が到来しているということです。そして更に伸ばし、100年人生に向かっています。
ところがご存知のように、寿命には生涯寿命ともう一つあります。近年よく話題にのぼる健康寿命です。WHO(世界保健機関)が2000年に新たに提唱した指標で、「医療や介助に頼らず、自分の力で日常生活を送ることができる期間」のことです。
言い換えれば、健康寿命とは「医療や介助の生活に入る年齢」のこと。つまり、例えばMCI(軽度認知障害)や準寝たきり状態になって、医療や誰かの介助が必要になる年齢のことを指しています。
この健康寿命が、女性74歳/男性71歳です。生涯寿命はどんどん伸びましたが、健康寿命は置いてきぼりです。男性の場合ですと、65歳でリタイアしたあと、世界遺産を訪ねる、名門ゴルフコースを制覇すると、セカンドライフを謳歌したいと思っても・・・、65歳から健康に過ごせる期間はわずか6年なのです。
そして健康寿命が尽きた後、医療・介助生活が待っています。10年経過して亡くなっていくのが日本人男性の平均的な姿です。WHOはこの医療・介助期間を「延命期間」と定義します。「人工」という名を頭に付けた、人工呼吸や人工栄養(胃ろう)、人工透析だけが延命ではないのです。
これまでの現代医学は患者の生涯寿命を一日でも長く延ばすことを使命とし、健康に不安を感じる人や患者になる前の人を対象とはしてきませんでした。しかし、想定していた以上に生涯寿命が伸び、「長生き病」とも呼ばれる認知症や寝たきりなどの生活習慣病が増えています。
現代医学はキッタハッタの救急救命疾患に対しては抜群に強いのですが、慢性疾患(慢性の経過をたどる生活習慣病)に対してはとても弱いのです。
進化した現代医学も長生き病には充分に対応できず、未開拓の状態です。
となると、長期戦略を持って、自分自身で自分の「体と脳の耐久年数」=健康寿命を伸ばしていくしかないのです。そうしながら、いつなのかは分からない自分の生涯寿命を全うするのです。生涯寿命と健康寿命の差を無くし、ピンピンコロリ(PPK)を実現します。
PPKできる人は、人生の完走者というか、長寿時代における「人生の成功者」です。そうなるためにも、体の仕組み、生活習慣病の原因、医療保険制度の仕組み、栄養素の役割、サプリメントの選別方法など、正しい健康知識を知らなければなりません。
いわゆる、「健康リテラシー」(Health literacy)を身に付けることが、長寿時代において、人生の成功者の必須要件なのです。