◆セルフケアでリスクマネジメント
世の中は3つのグループに分かれます。
●Aグループ:全体の1割
大往生、いわゆる「ピンピンコロリ」の人たちで、健康寿命を大きく引き上げます。
●Bグループ:全体の7割
60代後半まではほぼ健康で日常生活に支障ありませんが、その後急速に健康力が低下し、健康寿命(男性71歳/女性74歳)を迎えます。日本の平均的な人たちです。亡くなるまでの医療・介助期間は男性10年/女性13年に及びます。延命技術の発達した日本では「コロリ」は難しいのです。
●Cグループ:全体の2割
70歳までに亡くなるか、認知症や寝たきり状態になる人たちです。
なぜ、このような状況が起きているのでしょうか? 主に3つの理由が考えられます。
1. 人生90年対応になっていない
1960年代に人生70年となり、定年や年金・医療保険制度など、社会システムが整備されました。高齢者入りする65歳からは5年足らずの人生でした。その後、人生の期間が20年伸びたのに、当時の社会システムや人生モデル・価値観は払しょくされず、まだ尾を引いています。
現在の65歳はこれから25年の人生がありますが、ほとんどの人は完走するための健康力をまだ身に付けていません。
2.栄養学で大きく遅れを取っている
同じく1960年代以降、日本人の食習慣は、手作りの健康的な和食から、加工食品やファーストフードへ大きくシフトしたため、ミネラルや酵素など、特定栄養素の欠乏状態を招き、生活習慣病(メタボリックドミノ)が加速度的に増えています。
一方、世界の潮流は、1977年発表のマクバガン・レポート(米国上院栄養問題特別委員会報告書)により、栄養素の役割や新陳代謝の仕組みなど、栄養学重視へ舵が切られ、和食ブームも起きています。
3.70歳過ぎて一気にツケが現れる
70歳を過ぎてからの健康状態を決めるのは、後半人生の45歳から始めるセルフケアなのですが、その意識がまだ浸透していません。
45歳から60歳の時期に、メタボリックシンドロームやロコモティブシンドロームが深く潜行するのですが、自覚症状が出ないため、大事なこの期間を無為に過ごしてしまいます。そのしっぺ返しが60代になって現れます。
そこで、提案します。「セルフケアにより、これから毎日、健康寿命を1日ずつ伸ばしていきませんか」と。目指す健康寿命は男性90歳、女性95歳。今の健康寿命とのギャップは男性19年、女性21年ですが、それを同じ年月をかけて埋めるのです。
逆算すると、男性は52歳から、女性は53歳から始めればいいのです。なお、その年齢以降でもキャッチアップはいくらでもできます。
大事なことは、自分の人生、自分の健康は自らが作るという意識とその実行力です。