◆戦略的・科学的に「健康力」を作る
人生90年を乗り切るには3つの取組みが必要です。「健康力」(体と脳の耐久力1ランクアップ)、「経済力」(長く働けるスキルと思考)、「交流力」(新しい人間関係)です。つまり、人生の三大不安「健康」「お金」「人間関係」を解消するということです。
詳しくは、5月5日付の「60歳からのプレミアムタイム」を参照ください。
健康豆知識は、このうち「健康力」を受け持ちます。全体像を掴むため、「健康力を作る戦略的・科学的プローチ」という図を作ってみました。
私たちが目指すのは、体と脳の耐久力=「健康力」をアップし、耐久年数=健康寿命を伸ばすことです。最期に、「いい人生だった」と思えることです。
まず、この健康寿命を伸ばすという考え方は、WHO(世界保健機関)が2000年に提唱した新しいアプローチだということを知ってください。
そして、3つのポイントを押さえてください。
(1) 現代医学の得意・不得意
健康寿命を伸ばす上で最大の敵は生活習慣病です。しかし現代医学は、突然に襲う外傷・感染症・中毒に対する救急医療や、人工呼吸・人工栄養・人工透析等による延命治療は得意ですが、生活習慣病は不得意です。
(2) 医療保険制度の落とし穴
現在の医療保険制度は「病気になってから治療するシステム」なので、未病は治療の対象外です。生活習慣病を発症してから治療に取り掛かります。
(3)長年の生活習慣のツケ
前回の「中高年の平均像」をご覧ください。未病から生活習慣病へ、生活習慣病から医療・介助生活へ進み、長期の延命期間に入ります。45歳からの生活習慣のツケが、75歳以降に延命期間として現れます。
WHOが提唱しているように、「自分の健康は自分で守る」――セルフケアの重要性が増しているということです。
セルフケアの基本は、良い生活習慣で健康を作るということです。しかし、そう単純ではありません。私たちの生活を取り巻く環境は、複雑で不透明、しかもめまぐるしく変わります。誰もが不安やストレスだらけです。
そこで生活習慣を、「思考習慣」「行動習慣」「食習慣」の3つの面からトータルでとらえ、戦略的・科学的にアプローチしていきます。次回から、一つひとつ掘り下げてみたいと思います。