◆「高血糖の呪い」を解く

「高血糖の呪い」という言葉があるのをご存知でしょうか。高血糖の状態を放っておくと、その後、呪われたような事態に陥っていくという意味で使われているのですが、この言葉は、私たちにとても重要なことを示唆してくれています。

 

というのは、私たち40代以上の多くが「隠れ高血糖の状態」だからです。この状態が進行して、高血糖症(初期の糖尿病、膵臓がポンコツ状態)になってしまうと、もはや元に戻れません。治せる薬があれば良いのですが、そんな魔法のような特効薬はありません。

 

そのため、高血糖症予備軍である、高血糖の状態のうちに、ここから早く抜け出さないと、高血糖の呪いにハマってしまうです。

 

これから、高血糖の呪いを解くための方策を考えていきますが、まず、「なぜ私たちの多くが隠れ高血糖の状態になっているのか?」を知ってください。

 

1.加齢のため膵臓が弱ってきている

飲んだり食べたりして体に入った糖を、毎回せっせとエネルギーに転換して、全身の細胞に送り込んでくれるのが、膵臓から分泌されるインスリンです。インスリンのお陰で血糖値を正常に保つことができるのですが、40代を過ぎると、その能力は衰えたり、分泌される量が目立って減ってきます。

 

2.毎日、角砂糖40個以上食べている

ざるそば1枚で角砂糖10個分、おにぎり1個で14個分、食パン1枚で9個分…と、普通に食べている麺・ごはん・パンにも糖は多く含まれているし、健康に良いと飲んでいる野菜ジュースや青汁には砂糖よりも血糖値を上げる人工の甘味料が含まれています。

 

つい70年ちょっと前までは人生50年でした。それが今では人生100年に向かっています。膵臓にとって、「これほどまでに長く使うことを求められる時代」「これほどまでに血糖値を下げる必要に迫られる時代」になるとは、まるで想定外なのです。

 

そのため私たちの血管のなかは、下記の図のようになっています。

 

 

このように血液中に糖が余るようになると、これらの余った糖が、酸化と糖化という困った現象を起こします。さらに下記の図をご覧ください。

 

 

諸悪の根源は糖化です。糖が脂質やたんぱく質と結びつくと、AGE(Advanced Glycation End Product=終末糖化産物)というたちの悪い物質になります。

 

このAGEが、例えば肌に付着してシミ・シワを、骨にたまって骨粗しょう症を、脳に沈着してMCI(軽度認知障害)を引き起こすのです。糖毒性を有するこのAGEこそが、老化現象やさまざまな病気の真犯人だということが分かってきています。


高血糖の状態がいかに危険か、ということです。そして特に怖いのは次の2点です。

 

(1)AGEと活性酸素

高血糖状態は、糖化(ベタベタにする、コゲさせる)=AGEと、酸化(体をサビさせる)=活性酸素を多く発生させ、血液を通して全身にばらまかれます。

 

(2)「高血糖の呪い」真の怖さ

英語ではMetabolic memory(高血糖の記憶)と言い、体に高血糖の記憶が刷り込まれると長期に影響を受ける。最も怖いのは、母体の記憶が胎児に引き継がれることです。

 

でも逆の視点で見れば、糖を制して、正常な糖の記憶を刷り込めば、長期にレガシー(遺産)効果が得られる=長期に健康をつくっていけるということです。レガシー効果を念頭に置いて、10年後、20年後の自分をつくっていくという姿勢が大切だと思います。

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