◆がんが増えているのはG7で日本だけ

驚くことに、日本人が生涯でがんになる確率は、女性46%/男性62%(2013年のデータ)。2人に1人の割合です。

 

今年919日、国立がん研究センターは、2017年に新たにがんと診断される人(新規患者)は1014千人、がんで死亡する人(がん死)も37万人8千人になると予測しました。いずれも過去最多であり、この30年で2倍以上に膨れ上がっています。

 

下の図をご覧ください。がんになる確率は50代から急に上がり始め、60代から一気に上昇します。特に男性の増え方は凄まじいです。

 

 

ところが日本人にはあまり知られていない不可解な事実があるのです。国際がん研究機関によると、世界全体で見ればがん死は増えているが、先進7か国(G7)で日本以外の国は減っているのです。ではなぜG7で日本だけが、がん死が増え続けているのでしょうか?

 

1.  高齢者の増加が原因か?

日本は高齢化のスピードが一番で、高齢者の急増によりがん死が増えていますが、それだけでは説明がつきません。

 

高齢化率(65歳以上の割合、2016年)は、日本は27%で世界1位ですが、他の6か国だって、イタリア23%(2)、ドイツ22%(4)、フランス20%(11)、イギリス18(25位)、カナダ17%(30)、米国15%(38)と高齢化が進んでいるのに、どの国もがん死は増えていません。

 

例えば米国のがん死は年間約60万人ですが、人口比で見ると、日本は米国の1.6倍です。日本人はがんになる確率も、がんで死亡する確率も高く、そのため「がん大国・日本」と不名誉な呼ばれ方をされています。

がん死が増え続ける理由は、高齢者増以外に、他にもあるはずです。

 

2.  がん検診の受診率が低いから!

マジメな国民性のはずなのに受診率は驚くほど低いです。例えば、乳がんと子宮頸がんの受診率は、米国が8割に対し、日本は4割です。早期がんであればかなりの確率で治すことができるので、がん死のリスクを低くするためには、面倒がらず・怖がらず、定期的に受診した方が良いということです。

そしてもう一つ、衝撃的な理由が指摘されています。

 

3.  病院食が原因だった?!

「がん死の8割はがんで死んでいるわけではなく、栄養障害が原因で亡くなっている。病院食を見直すべきだ」という提言が医学界で反響を起こしています。提言者は外科・緩和医療の第一人者、東口高志教授(藤田保健衛生大学医学部)です。

 

高口教授によると、

〇がん細胞は栄養を大量に取り込んで、猛スピードで増殖する。どんどん栄養が奪われるのだから、その分を補充しなければ、がん患者はあっという間に栄養障害に陥ることになる。そして免疫機能が衰え、通常なら何ともない弱い菌にも感染して亡くなってしまう。

〇がんだけでなく、あらゆる病気に栄養障害が関わっている。例えばたんぱく質が不足すると、足りない分を補うために筋肉自体から栄養を消費するようになり筋肉量が減り、歩けない・立てない・座れない状態になり、やがて寝たきりになってしまう。

 

同教授は、この現状を広く知らせるため、『「がん」では死なない「がん患者」―栄養障害が寿命を縮める』(光文社新書)も出版しています。


ところが「栄養と病気の関係」については、今から40年も前に解明されていたのです。それが世界的に有名な「米国上院栄養問題特別委員会報告書」(通称:マクバガンレポート、1977年)です。

米国では1960年代から、がんや糖尿病が急増し、医療費が国家財政を圧迫。そこで当時のフォード大統領は上院に特別委員会を設置して、その原因を徹底的に調査させました。

 

その結果、病気は菌やウィルスによってだけ起こるのではなく、食事の偏りや栄養の不足によっても起こることが、世界で初めて明らかにされたのです。

 

米国科学アカデミーが「レポート:食物・栄養とがん」を1983年発表、1990年からがん予防国家プロジェクトをスタートし、がん死もがん罹患率も1990年代初めから減少に転じたのです。それを受け、1997年に米国がん研究財団と世界がん研究基金が「がん予防の食生活ガイドライン」をまとめました。

 

米国人に大きな影響を与えたマクバガンレポートは、全世界で驚きと希望を持って受け止められましたが、日本では全くと言っていいほど話題になりませんでした。

なぜでしょうか? 平均寿命が世界トップクラスなので健康的だと思いがちですが、そう考えているのは私たち日本人だけかもしれません。

次回は「がんにならないためには」について考えます。

 

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