◆私たちは「MCI」対策、親は「認知症」対策
現在、急増しているのが、MCI(軽度認知障害)一歩手前のMCI予備軍です。40代を過ぎると、誰もがなっていてもおかしくありません。でも、判別しにくいのです。
一般的なのが、「高血糖、うつ傾向」=MCI予備軍からMCIに、そして認知症へ進行するパターンです。
治療法の確立が急がれますが、根治できる薬物療法はいまだに存在しません。つい最近では週刊現代9/9号が、「製薬会社が次々と撤退。認知症の薬は作れない」というインサイドレポートを載せています。
〇今のところ患者に処方されるのは、アリセプトなど、進行を遅らせるものだけ。現段階の技術では、認知症になってしまうと薬で元に戻すことは不可能だ。
〇多くの製薬会社が多額の研究費を投じてきたが、ことごとく失敗。極めて入り組んだメカニズムの脳に関わる認知症は実に複雑な病気だ。
認知症の患者は、5年前の2012年時点で462万人、MCIを加えると1000万人に迫っています。国は、認知症総合戦略“新オレンジプラン”を決議し、認知症サポーターの養成、若年認知症の防止、リスクを高める高血糖の予防、リスクを軽減する交流や活動の推奨を掲げます。
そして介護施設・病床不足で、在宅介護を推進します。「家族のことは自分たちで面倒見なさい」という方針です。
お尻に火が付いているのが、団塊世代とその子供世代の団塊ジュニアです。健康寿命を迎える年齢の団塊世代は「2人に1人がMCIもしくは認知症になる」と予測されているからです。
「介護難民にならない」「子供を介護離職させない」ためにも、MCI/認知症対策を急がなければなりません。
リスクマネジメントと経済合理性から見て、最も賢明なのは、親子コンビで取組むことです。
「60歳から74歳」は子供世代の「30歳から44歳」と、「45歳から59歳」は親世代の「75歳から89歳」と一緒に取組みます。
下の図のように、絶対数が圧倒的に大きく、この社会的意義も大きいと思います。
取組むに当たってのポイントは、
(1) MCI予備軍からMCIになり、認知症へと着実に進行します。本人も周囲も気付いていない「隠れMCI」もいるでしょう。認知症になるともう戻れません。でも、認知症になるまで20年から30年掛かかるので、今すぐ取組めば何とかなるものです。
(2)脳は身体の中で最も栄養を消費するので、最適な栄養状態で、脳細胞を新陳代謝することが肝です。栄養吸収率が低下する中高年は、今まで以上に栄養を意識します。
(3) MCI予備軍の段階であれば健脳に戻すことも容易です。MCI予備軍になりやすい40代の時期から、「健脳に戻す。そして、長期戦略で脳の健康寿命を伸ばす」ことに取組むことが大切です。
認知症は「脳の耐久年数」=脳の健康寿命が途絶える病気です。長生きになったにも関わらず、健康寿命を伸ばせていないのが原因なのです。そのため、認知症は「長生き病」とも言われます。
ひと昔前は痴呆症と呼ばれましたが、ほとんどの人は症状が深刻化する前に亡くなりました。状況が変わって、2004年認知症に名称変更されたのです。
私たちはMCI予備軍かもしれないし、親はMCIになっているかもしれません。その確率は思っている以上に高いのです。次回は、取組む内容について。