◆「健康寿命+20年」を解決する鍵
私たちは、「健康寿命を20年伸ばす」というとんでもない課題を抱えていますが、これを解決するには、今のうちから健康貯金をコツコツして、長期戦略で健康寿命を伸ばしていくしか方法はありません。
その際のキーポイントは、健康寿命の足を引っ張っている「がん・心臓病・脳卒中の3大疾病」と「急増している認知症」を取り除くこと、つまり、予め防ぐことです。
幸いにも、最新科学がこれらの病気の原因を突き止めています。下の図をご覧ください。
誰でも食事をすると、食べ物に含まれる糖分が腸で吸収されて血液の中に入り、血糖値が上昇します。140mg/dlを超えると食後高血糖、いわゆる「血糖値スパイクが起きている」と判定されます。
この「血糖値スパイクを起こしている生活」を続けていると、やがて血糖値が正常範囲まで下がらなくなり、空腹時でも高血糖になり、糖尿病になってしまいます。
ところが最新研究で、糖尿病になる他にも、重大な病気になることが分かったのです。 血糖値スパイクの繰り返しが、血管や体・脳の細胞を(1)「酸化」(サビ)させる、(2)「糖化」(コゲ)させる、(3)「内臓脂肪化」(タメ)させるという悪さをして、新たな合併症「がん・心臓病・脳卒中と認知症」を引き起こすのです。
この現状を、NHKが二度にわたって取り上げています。それが大きな反響を呼んだ、NHKスペシャル「血糖値スパイクが危ない」(2016年10月8日)、シリーズ医療革命「あなたを襲う血糖値スパイク」(2017年2月3日)です。
最初の番組では、健康診断で測る空腹時の血糖値には問題がない働き盛りの人たちに、「おにぎり2個と野菜ジュース1本」で食後の血糖値を調べています。なんと、基準値の140をはるかに超える人が続出、200まで急上昇する人も。こんな日常の、軽い食事でも血糖値スパイクが起きるのです。
(※血糖値スパイクの言葉は、NHKスペシャルの制作スタッフが、事の重大さを実感してもらおうと命名したものです)
食後高血糖(血糖値スパイク)の存在は、長い間、医学界でもないがしろにされてきましたが、3大疾病や認知症の原因となっているとは、まさに灯台下暗し。
もはや、高血糖なんて肥満・中高年・オヤジの専売特許だと軽く考えてはいけない。血糖値スパイクは、肥満ではない男性や、痩せた若い女性にも多く起こっていて、その数は1400万人に達していると推測されています。世代も性別も関係なく、誰にも起こりうる「新たに見えてきた脅威」なのです。
そのため、血糖値スパイクを起こさない生活を日々積上げる、そうやって健康貯金をしていくことが、健康寿命を伸ばす最大の解決策なのです。ここを一点突破すれば、全面解決につながるということです。
ではどうやって、血糖値スパイクを防げばいいのか。それは次回に。