■桑寿から始まる人生後半戦(2/2)
私たちの前に立ちはだかっている、「55歳の壁」「65歳の壁」「75歳の壁」をどうやって突破していくか?
■55歳の壁、65歳の壁=職業寿命
(1)75歳まで、あるいはそれ以上長く働きたいと思うのであれば、定年後に再雇用制度を利用すると、旬を過ぎてしまい、その後の選択肢が狭まり、リスクが高くなります。例えば65歳から別の仕事を探そうとしても、それまで不本意に過ごしてきた人を採用するほど、現実は甘くはありません。
(2)桑寿を迎えたら、これからは二度目の人生です。仕事人生も二度目と思って、働き方や仕事観をまるで変えてみます。フリーランサーの意識で働くとか、社内副業や兼業を始めるとか、好きな仕事に転職するとか、起業の準備を進めるとか、あるいは今の会社で役員になるとか、そういう見極めのある準備を行いながら、55歳の壁を乗り越えます。
(3)60歳までに、次の65歳の壁を突破する道筋を作り上げるのです。特に大手企業では、たとえ役員になっても75歳までは働けません。75歳、あるいはそれ以上働ける仕事観、スキル・能力を身に付け、長く働ける職場を見出して、65歳の壁を一気に乗り越えます。そうすると、この壁は思っているより案外低いはずです。
■75歳の壁=健康寿命
(1)健康寿命を伸ばす具体的な方法は『健康豆知識』に譲りますが、肝になる点があります。それは、健康寿命の足を引っ張っている三大疾患(がん・心臓業・脳卒中)や認知症といった生活習慣病は、20年以上の潜伏期間を経て発症する、つまり病気は発症の20年以上前から進行しているということです。
(2)そしてこれらの病気は、75歳前後に多く発症しているのが現実です。ということは、その20年以上前の桑寿を迎えた時から、健康リテラシーを学び、自分の習慣を見直し、積極的に防ぐことが、75歳の壁を乗り越える決め手になるということです。
ともあれざっくり言えば、現在の健康寿命は75歳、職業寿命は65歳です。そのため、「健康寿命を20年伸ばす」「職業寿命を10年伸ばす」ことが、私たちの前に現れた新たな課題です。
48歳の桑寿を機に、「健康寿命+20年、職業寿命+10年」を意識し、ゴールまで自力で完走する戦略を考えます。人生航路は想定以上に長くなっているので、戦略を持たなければ、途中で座礁してしまいます。
そして、戦略を考えたり、それを納得するまで深めるには、どうしても「学び直し」が必要となります。
「時代を掴む」「働く意味や生きる意味を自分に問いかける」「自分の経験や知識を他社でも通じるように一般化したり、学問体系的に検証して整理する」―― つまり、自分を活かし、気分良く生き抜いていくための学び直しです。学校の勉強ではありません。
独学で、仲間うちで、あるいはメンターを囲んで数人のメンバーで、この学び直しを行います。大事なのは「何を学んで、何を手に入れるか」ということです。時代観、人生観、仕事観、パートナーシップ、新しい仲間、家庭や職場以外の居場所、長く働ける職場、ITリテラシー、健康リテラシー・・・。
そうすると、自分の強み、三つの壁を突破する方法、自分を支援してくれるものが鮮明に見えてきます。こうなればシメタもの。55歳の壁は低くなり、それよりも65歳の壁は低くなり、そして75歳の壁はもっと低くなって見えるはずです。