■人生を経営する時代に
現在の「会社経営」は大変です。右肩上がりだった時代では、人口増加、経済の高成長と共に市場は自然に広がってくれるし、これまでの方程式を頼りに、拡大再生産をし続けていれば、売上も利益も順当に伸びました。
ところが人口減少、経済の低成長に転じた現在は、昇りのエスカレーターが突然、下りに変わったようなもの。しかも、AI化、グローバル競争、シニア社員の増加・・・。現状を知り、危機意識を持って、「市場開拓」(マーッケトをつくる)と「事業モデル構築」(稼ぐ仕組みをつくる)に懸命に取組んでいます。
でももっと大変なのは、私たち個々人の人生です。百歳時代を迎え、人生設計の前提条件がまるで変わっています。今後の伸びしろを組み込むと、40・50・60代の私たちミドル世代は95歳人生を生きることになります。
ところが、社会の制度や仕組みの基本設計は、“右肩上がり、70歳人生” の時代につくられたもの。とてもじゃないが、95歳人生とはマッチしません。
定年や年金支給開始年齢は、徐々に引き上げられてきていますが、いずれゼロベースで基本設計をやり直して、例えば、高齢者は75歳から、年金支給は75歳から、定年撤廃・・・などに切り替わるでしょう。しかしそれを待っていては人生航海で難破しかねません。
「75歳まで働き、95歳まで生きる」人生航路に舵を切り、わが人生を経営するという意識を持って、「市場開拓」(75歳まで働ける職場、職場以外の居場所をつくる)と「人生モデル構築」(長く稼ぐ力、長く生き抜いていく力をつくる)に取組むのが賢明です。
多くの人にとって、75歳まで今の会社や組織で働くことは見込めないはず。であれば、「リスクをとらない、守りに入る、先送りする」といったマイナス思考をサッパリ捨て、「意識を未来に向ける、今から準備すれば何とかなる、人生を二度楽しむ、自分を知る」という姿勢で、市場開拓と人生モデル構築に取り掛かることです。
その際に、ポイントとなるのは、次の2つです。
(1)自分の「やりたいこと」と「できること」の重なりを見つける。
(2)それは「価値あることか」、少しでも「世の中の問題解決につながるか」を考えてみる。
その上で、やらないことを決める。背伸びすれば可能な目標と計画をつくる。とにかくやってみる。PDCAを回す。あとは危機意識をバネにして、やり抜くだけです。
誰もが同じ時代環境の中で、自分なりの道を見出そうとしています。そんな時代の一員であることを受け入れ、自分のやりたい&できることを見出して、一歩踏み出す。「一点突破、全面展開」「継続は力なり」という言葉が後押ししてくれます。