■ごきげんが良き人生を創る(2/3)
前回、電機業界のリストラを採り上げましたが、1970年代にパナソニック・シャープ・三洋電機の関西御三家と取引していたので、「歴史は繰り返す」ことを実感します。
1950年代までは先進国の中で、日本製品は「安かろう・悪かろう」であり、平均寿命もビリでした。けれども、勤勉性と良心を発揮し、追い付け追い越せで「安かろう・良かろう」に変貌し、1980年代にはジャパン・アズ・ナンバーワンになりました。そして平均寿命も世界一に。
電機業界も、関西御三家、ソニーや東芝・日立…が、RCA・ゼニスなどの欧米メーカーを押しのけて、世界市場を席巻しました。ところが、IT革命によって、家電や音響製品はコモディティー化(=雑貨商品化)。この流れに適応できず、新興国の新規参入組の「圧倒的に安かろう・良かろう」にシェアーをどんどん奪われています。
でもまだ、日本には人材と技術と経験があります。経営危機から世界最強の通信インフラ企業に変貌したノキアの例もあります。しかしこのように、時代に適応し、変貌するためには、失敗の本質や近未来への戦略を学ばなければなりません。
そしてこれは、私たち個々人の人生もまったく同じだ、と思うのです。
バブル崩壊前までは、経済全体が右肩上がりで、誰しも昇進昇給があり、「定年まで勤め上げれば、60歳から年金、10年余りのリタイア生活を楽しめる」という人生モデルがありました。日曜夕刻、食卓を囲んで観た「サザエさん」の波平さんは54歳で同世代、「光る光る東芝…」のCMソングも高らかに流れていたのです。
ところが寿命革命で高齢化が進み、日本人の平均年齢は50歳になり(前回の東京五輪では29歳)、100歳人生へ向かっています。50歳が日本人のちょうど中間年齢で、100歳の中間地点。日本社会の風景も日本人の人生も様変わりしています。
新たな時代環境を迎えているなかで、45歳から60歳は日本の中心世代として、よりパワフルに、格好良くエイジングして、「長寿時代の幸せな人生モデルを創り上げる」という自覚を持つべきだ、と思うのです。
誰にも共通する幸せな人生は「よく生きた。いい人生だった!」と最期に思えること。これを実現するためには、課題が二つあり、第一の課題は【健康豆知識】が、第二の課題は【60歳からのプレミアムタイム】が担当しています。
そこで第二の課題ですが、これを解決する秘訣は、《仕事》を再定義して長寿時代に適応することです。つまり、仕事の概念を変えてみるのです。
こう考えれば、目の前が開けたように感じませんか?
長寿時代では、「人生を全うする。最後まで自分の力で身の回りのことをやれる」ことが第一の社会貢献になります。周りに迷惑を掛けなくてすみますし、医療や介護といった社会保障の負担を減らせます。人生を楽しむための消費もするのですから、立派な社会貢献です。
第二の社会貢献は、多少なりとも、人や社会の役に立つことです。自分のやりたいことを仕事にして、何らかの形で、人や社会に役立てばいいのです。
成熟した職業人でもある、45歳から60歳の中心世代が、「新しい時代の社会貢献を意識しながら、自分のやりたいことをやって、ひたむきに生きることを楽しむ」という人生モデルになる。そうすれば、世の中は明るくなり、あとに続く世代も希望が持てると思うのです。
ー続くー
(次回は、自分のやりたいこと&人や社会に役立つことを見出して、それを仕事にする方法について、私なりの考えを記します)