■「学び直し」の意味

最近、国が学び直し(リカレント教育)を看板政策「人づくり革命」の基本構想に盛り込み、学び直し拡充に向け環境整備を加速させる方針を示しています。そのためかメディアによく登場するようになりました。

ところが、女性陣にはこの言葉にどうも違和感があるようです。そこで今回は、学び直しがなぜ必要なのか、とりわけ誰にとって必要なのか、学び直す重点項目は何なのかについて私なりに考えてみたいと思います。

まず、学び直しが必要になった背景には次の3つがあります。

1. 人生の前提が変わる
人生100年時代に向かって一歩一歩進んでいくなかで、生きる期間という人生設計の前提が変わり、考え方を根本から見直さなくてはならなくなりました。

2. 高齢者の定義が変わる
現役世代は減っていますが、リタイア世代は増えていますので、社会を維持するためには、高齢者の定義を65歳から引き上げ、現役世代の絶対数を増やすしかならなくなりました。

3. 学び続けることが求められる
AIなどイノベーションの進展により、単純労働や事務などの仕事がなくなっていくので、これからの時代に求められる人材になれるよう変身を図らなくてはなりません。

3つの潮流が社会を根底から変え始めていて、その矢面に立っているのが、現役年長組の45歳から60歳です。ぎりぎり間に合う今の段階で、これまで当たり前だったことを一旦リセットし、発想や行動様式を切り替えなければ生き抜いていけません。

たとえ今後理不尽な現実が現れても、それに向き合い、いかようにも柔軟に対応していけるのは女性のようです。男社会の中で揉まれ、結婚したらたいていは名字を変え、子供ができたら仕事をうまく調整したりと、環境への変化対応力を女性は身に付けています。

それに対し、男性は硬直的です。同期の中で早く昇進して偉くなれば良い人生が送れるといった単線的な生き方をしてきた人が多いためか、目の前の不都合な現実を直視しようとしない傾向があります。今までは良かったことが前途を塞ぐ壁になってしまいます。

3つの潮流が社会を本格的に変えていくことを考えると、少なくとも「75歳まで働いて95歳まで生きる」のを前提に、これからの人生を再設計しなければなりません。女性であれば100歳まで生きることも視野に入れておいたほうがいいでしょう。

そのためには、お金、健康、人間関係など、すべての面で「学び直し」が必要になります。違和感を唱える女性の感覚で言えば、学び直しというよりも「新たな学び」です。新たに学ぼうとした時には過去の発想を捨てて臨む女性の生き抜いていく力を見習うことが肝要だと思います。

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