■自分なりの成功者像を描く
私たちは忙しい日々のなかでも、さまざまなことに慣れていきます。そして少しずつではあっても、感性や思考は固まっていき、知らず知らずのうちに感性鈍化や思考停止の状態に陥ってしまう傾向にあるようです。
次のような状況があるかどうかチェックしてみてください。
(1) 仕事に飽きている (2) 意識しなくても仕事が片付けられる
(3) 何となくつまらない (4) 無意識に楽なほうを選択している
(5) いつもほとんど同じ人と話をする (6) 話す内容がいつも一緒
(7) 最近感激しなくなった (8) 新しいことを始めるのが面倒だ
(9) 人の話を聴かなくなった (10)「もぅいいや」と頻繁に思う。
もし一つでもあれば、私たちの感性や思考は固まりつつある可能性があります。「固まり症候群」に向かっていると自覚したほうがいいと思います。これは一種の早期老化現象であり、MCI予備軍の前触れです。
例えば、ずいぶん昔に遡りますが、入社当時は電話にきちんと対応できたということぐらいで、とても嬉しかったことはありませんか? また、お客様に自分の名前を覚えてもらって、感激した思いはありませんでしたか?
ところが現在の私たちは、そんなことはできて当たり前ですから、嬉しい気持ちや感激はなくなっています。それ以上に仕事がマンネリになってくると、新しい工夫をしようという考えはなかなか浮かんできません。そうなると、少しずつ私たちの感性や思考は固まっていくのです。
この固まりつつある感性や思考を解きほぐしてくれるのがリフレーミング(reframing)です。今の枠組み(フレーム)をはずして、自分が潜在的に思っている欲求や能力を掘り当て、働き方や生き方を自分らしいものに変えるのに適した手法です。
その手法は色々ありますが、なかでも有効なのは「自分は固まっていないか?」という姿勢で自分をプラスに疑い、自分自身に問いかけることです。
ここで10の問いかけをしてみてください。
1. 失敗が怖くて無難な選択をしていないか?
2. 新しいことにチャレンジするのは億劫だと思っていないか?
3. 自由な発想をするあの人は特別な才能があると思っていないか?
4. うまくいかないのは自分の運が悪いからと思っていないか?
5. 環境が良くないから力を100%発揮できないと思っていないか?
6. 効率優先でものごとを考える癖が付いていないか?
7. 自分のダメなところが嫌で許せないと思っていないか?
8. 働き方や生き方を変えるのは無理だと思っていないか?
9. 欲望に忠実に生きることに罪悪感をおぼえることはないか?
10.嫌な仕事は適当に流せばいいやと思っていないか?
問いかけ内容に対して、「そんな姿はイヤだな」という違和感や、「この状態が進行するとヤバイな」という危機感を感じませんか。そうであるなら、これらの問いかけに横たわっている「培ってきた理性や常識、思い込み」は、もう自分には必要でなくなった価値観になっているかもしれません。
40代後半や50代の自分に不安や焦りを感じさせているのは、今まさに下りている『第一ピラミッド』の存在ではありません。60歳からの『第二ピラミッド』でもありません。それは済んでしまったことや悩んでも仕方のないことにこだわっている自分自身です。自分で自分を囲い込んでいる「枠」の存在なのです。
このような違和感や危機感、不安や焦りの元を一つひとつ打ち砕くことで、自分の枠をはずし、心の内をどんどん掘り下げていくと、「自分の本当に好きなこと、やりたい
こと」という宝を掘り当てることができるはずです。
そして次にやるべきは、二つのピラミッドを構築して生きる自分とのやり取りです。
【1】 自分はどうなりたいのか?
成功者を「いい人生だったとゴールで思える人」と再定義します。そのうえで、自分なりの「わが成功者像」を自由に思いのままラフスケッチします。
【2】 そのためのキャリアプラン(人生の地図)をどう描くのか?
キャリアを「人生全体の役割」と再定義します。役割はいくつもあって、それぞれの大きさも変わります。「各役割トータルの最大化」を意識すれば、これからの働き方や生き方、新たな価値観や人生観も見えてきます。
もちろん一度のやり取りでは答えはすぐに出てきません。けれども繰り返し、自分自身とやり取りしていけば、「これから何をすればいいのか!」が浮かび上がり見えてきます。そうすればシメタ!もの。あとは楽しみながら実行すればいいのです。