■45歳からの働き方 (1/2)   

40代後半や50代が揺れています。会社員生活の全盛期を越え、同時に、人生の折り返し地点を過ぎ、焦りや不安の気持ちをつのらせているのです。その背景には、私たちの「ライフサイクルの前提が変わった」ことがあります。

この事態をとらえて、経済誌などが特集を組み、どんどん煽ります。

《70歳まで働くー45歳から考える次の仕事》 《80歳まで働けますか?ー50歳から考える定年後の仕事選び》 《50代からのリスタート:団塊世代とは違う生き方》 《50歳、自分の人生を取り戻す:第2エンジンを点火》 《100年人生時代、キャリアをどうマルチステージ化するか》《一生働く時代はすぐそこにー生活のため健康のため》・・・。

ライフサイクルが90年(プラスα)になり、45歳から60歳は「第一ピラミッドの完成期」であり、60歳からの「第二ピラミッドを構想する準備期」となりました。「現在の会社員生活を全うする」と同時に「次のステージを準備する」という大事な節目なのです。

それなのに、この年代の意欲を失わせる社会環境や制度が存在します。多くの企業では成長の鈍化でポストは減り、数年の遅れはあってもほとんどの社員が管理職に就けた時代は過ぎ去り、課長・部長に昇格していく社員は今や少数派です。

それに大企業(301人以上)の5割が役職定年制度を導入しています。一般的に55歳で課長・部長の役職を降り、その後は定年まで一兵卒で働くことになります。後輩にポストを譲ることで組織の新陳代謝を図ることと人件費削減が狙いです。

役割や実力で処遇すべきなのに一律に年齢で切るのは本来おかしいし、モチベーションを下げる制度は個人にも組織にもマイナスで、職場に思わぬ副作用を生みかねませんが、実施せざるを得ないのが企業の現実です。

そのため個々人にとっては、『第一ピラミッド』を完成させるのが難しくなっています。けれども完成させないで、モヤモヤ感を引きずったままでは『第二ピラミッド』へ移行できません。「健康のため80歳まで働く」ーそんな時代は目の前まで来ているし、国も社会制度を見直し、「生涯現役社会」を強力に推進しようとしています。

そこで今回は、「第一ピラミッドを完成させるための働き方」を、この年代は自分をどう活かせばいいかという観点からから考えます。

45歳から60歳は、自分の持っている「起業精神」もしくは「お役立ち精神」を掘り起こすしかないのです。そうすれば新たな役割や存在意義が見出せて、『第一ピラミッド』を完成させられます。たとえモデルになるのは難しくても自分のために頑張れば、『第二ピラミッド』も目指せます。

(一) 起業精神:新規事業、他社との協業、M&Aなど

起業というとベンチャー企業を設立することを思い浮かべますが、「今の会社のなかで新しいビジネスを作る」ことも広い意味で起業です。

新しいものを生み出して成長した会社がベンチャースピリットを忘れて衰退する一方で、ヒト(人材確保)とカネ(資金調達)でつまずくベンチャー企業が後を絶ちません。その点、波乱の職業環境を生き抜いてきたベテラン社員は人脈や事業資金など社内外のリソースを組み合わせて新しいビジネスを作れる環境にあります。

それに取引先との伝票処理の手順簡略化で経費削減したり、仕入方法や売場レイアウトを変えて売上を伸ばすのも新しいビジネスの一つです。フリーランス(個人事業主)の感覚で「ビジネスを作る仕事」に取組みます。教育・ヘルスケア・エネルギー・農業なども見直され、未来価値の高い領域がどんどん生まれています。

(二)お役立ち精神:現業の深堀、生産性の向上、働く環境の整備など

詳しく説明するまでもありません。後進を指導・育成する立ち位置ではなく、参謀や脇役に徹します。組織と頃合いの距離を置き、培ってきた経験や知見を出し惜しみなく使えば、名参謀や名脇役になれます。

そして後進にとって「ああなりたいという姿」を目指せば職場が明るくなるし、会社のあり方や後進の働き方にも刺激を与えます。これこそ理想的なモデルケースです。

第三の働き方もあるとは思いますが、いずれにしても抱えている荷をおろせば新たな自分を発見できるし、定年を到達点と思ってしまう思考から脱却すれば次のステージが見えてきます。“攻めの年代”へ発想転換することが何よりも大切なのです。

次回は、『第二ピラミッド』準備期としての働き方について。

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