■50代は転進するタイミング
今回は、中高年の人材価値について考えます。まず、人材価値の測り方ですが、「人材価値=スキル×経験値×モチベーション」というのが世界のスタンダードです。
●スキル・・・知識や技術のレベル、職務遂行能力
●経験値・・・過去に経験した仕事、経験の幅や多様性、社会人材化
●モチベーション・・・仕事に取組む意欲、他者の支援、組織への貢献
日本企業は、職務を限定せず会社というコミュニティの一員となって働く「メンバーシップ型雇用」なので、新卒入社からどんな “経験” をしてきたかは想像できるし、離職は高くないため “モチベーション” を見える化して評価する必要もなく、「スキル」を重視してきました。
しかし現代のように、情報やノウハウが簡単に手に入り、AI化が進展している時代では、ほとんどの仕事において、スキルの高さと成果は必ずしも直結しなくなっています。これからは「経験値」(経験の経験値化)と「モチベーション」(意欲と貢献)がポイントです。
「頑張ってきたのに、自分は選ばれなかった」という事実自体が、社内選抜に漏れた中高年のモチベーションを低下させ、人材価値を極小化します。何らかの手を講じないと、いくら少数の選抜組や若手社員が高い意欲で働いても、組織全体の生産性を上げるのは至難の業です。
“役職定年” や “再雇用” の制度が構造的に多数の戦力外中高年を生み出していますが、戦力外のままではいずれ朽ち果てます。50代の早いうちに、経験の経験値化(社会人材化)を行い、モチベーションを取り戻せる職場へ転進して、人材価値を立て直すことが重要です。