■コロナ前の「歴史」を知る(1/4)
かつて「人生70年」の時代があり、高度成長期に「一本道のレール」が敷かれました。「有名大学に入り、大手企業に入社。結婚して(社内結婚が多かった)家庭を築き、郊外にマイホームを持ち、55歳の定年まで勤め上げる。60歳からは悠々自適な年金生活」というレールです。
「一本道のレール」に乗って突っ走ったのが「団塊の兄姉世代」(戦前/戦中生まれ、現80代前半/70代後半)ですが、「人生70年」であればもう亡くなっていることになります。
そのためか、「望んだものとは違う人生の終末」という異変が起きています。“脳と身体の耐久年数”(健康寿命)が75歳頃に尽き、「認知症や寝た切り一歩手前の状態」になっています。
続いたのが「団塊世代」です。定年は60歳になりましたが、雇用制度も意識も「人生70年」の延長上のため、定年後1年も経たず、「居場所のない定年後」という異変を起こしています。「自分の居場所、社会との絆、生きがい、経済、健康を失っていく状態」になっています。
レールの長さは「70年」から80年をスルーして、一気に「100年」に向かっています。別の言葉で言えば、“長寿社会化/人生の長期化” がもの凄いスピードで進んでいるということです。
このスピードに、社会の制度/個人の意識が追い付けていません。そのため、団塊の兄姉世代も団塊世代も “長生きリスク” という時代の落とし穴にハマっているのです。
―― 次回に続く ――