■『社会人材』として長く活躍する

コロナは日本を代表するトヨタにも牙をむいています。5月12日、豊田章男社長は動画配信による決算発表会見で、2021年3月期の連結営業利益が8割減になると危機感を訴えました。

トヨタは近年、“CASE” の出現で、「ビジネスモデルを転換しなければ生き残れない。まさに瀬戸際だ。モビリティカンパニー(移動サービス事業者)に転換する」と標榜しています。

Connected(インターネットとの接続)/Autonomous(自動運転)/Shared(共同所有)/Electric(電動化)の頭文字がCASEですが、百年に一度と言われる自動車業界の変革に、グーグルやアップルなどの巨大IT企業も参戦し、トヨタの変革は待ったなしの事態です。

感染防止で新・企業理念(移動サービス事業者)の「移動」が制限され、テレワークやテレビ会議の有用性が知られるようになる中、移動利用者の価値観がどう変化するかを見極めることも必要です。でもコロナ後、変革のスピードを加速させていくのは間違いありません。

37万人を抱えるトヨタ。いずれ電動化で部品点数も部品工場も激減、シェアリングで販売ディーラー激減。関連ではガソリンスタンドや自動車保険が収入源の損保も変革を迫られます。

ここで思い起こすのは、豊田社長が表明した「自分のために、自分を磨き続けてください。そしてトヨタの看板がなくても、外で勝負できる人材を目指してください」という言葉です。

社会全体で、人材配分は大手企業に偏っています。大手企業1万社(全体の0.3%)/中小企業380万社(99.7%)に対し、従業員数は大手企業1430万人(全体の30%)/中小企業3360万人(70%)。しかも中小企業経営者は70歳以上が245万人いて、その3割は後継者難です。

大手で経験を積んだ45歳以上の、次の活躍の場は、ベテランを求める中小企業や伸びる産業。「広く社会で経験知を活かし、社会全体の生産性を高める」ことが求められているのです。

規模や知名度ではなく、「社会の人材として自分を活かす」という視点で、今後のキャリアを選択するのが、長期化する仕事人生を攻略し、充実度・生産性を高める秘訣です。

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