■楽観と自信を持とう(その3)
若いと思っていた団塊ジュニア(1971年から1974年生まれ)も人生の後半戦です。
30代後半から50代までを「ミドル世代」とすれば、団塊ジュニアはその真ん中。「今年18歳になる若者の半数は100歳まで生きて22世紀をその目で見る」と予測されていますが、ミドル世代だって、その半数は、男性90歳/女性95歳まで生きる。つまり、今年45歳から48歳になる団塊ジュニアは人生の中間点を超えているのです。
そして、後半戦が始まったこの時に、これからの人生を考えてみる。今年45歳であれば、60歳になる2034年、75歳になる2049年。世の中はどう変わっているだろうか。それにしても、桑寿・還暦…白寿と先人はうまく「人生の節目」を作ったものです。
人類が経験したことのない世の中が徐々に姿を現しています。とりわけ「人生の長期化」と「働き手人口の減少」が、これまでの認識や常識を変えています。
平成が始まった頃には “当たり前” だった「20年学び、40年働き、その後20年休む」という人生は、もはや当たり前ではありません。
「受験に明け暮れ、新卒で就職し、それから休みなく働き続け、結婚して子供を育て、定年後にやっと余暇を過ごす」「男は働き、女は家庭を守る」
――ちょっと前のこのような働き方・生き方をイメージしていると、60歳からの長い人生を無為にしてしまうかもしれない。75歳の壁(体と脳の耐久年数)を超えられず、それから医療や介助に依存する生活になってしまうかもしれない。
時代や社会の変化を捉えて、国も、「人生100年時代構想会議」を立ち上げ、2019年までを戦後の第一創業期、2020年からを「第二創業期」とし、新たな社会モデルの構築に向けて動き出しました。
――向かう方向は、「長く働き、健康に生きて、医療や介護の負担を減らす。そうすれば年金制度や医療保険制度を維持できるし、育児や教育に投資もできる」です。
この方向から、次の2つのことが読み取れます。
1.高齢者の再定義
高齢者は例えば75歳からとなり、「75歳になるまで働く」のが当たり前になる。それに合わせて年金支給開始が引き上げられる。
2.自己責任・自己負担
病気になって治療するのではなく、「生活習慣を変えて予防する」のが当たり前になる。それに合わせて医療費の個人負担率が引き上げられる。
根底にある考え方は、シニアおよびミドル世代が次の世代に “ツケ” を回さない。そして、先進国の中で最下位の「Well-being」(健康で幸福な度合い)を “自分の事” として引き上げていくことです。
これは結構厳しい。今になって突然、ルール変更を言われても…。でも、時代の大きな潮流です。そうしないと、もう国が持たないのです。この現実に向き合うと、「悲観的な自分」が顔を出してきますが、時代の潮流から逃げるわけにはいきません。
長くなった後半航路ですが、やはり途中座礁することなく、ゴールまで航海したい。その “羅針盤” として注目されているのが、「終わり良ければすべて良い」という生き方です。「いい人生だった!」と最後に思えるかどうかを、あらゆる場面での判断軸に置くということです。
ミドル世代の半数は男性90歳/女性95歳まで生きると予測されますが、それでも、ゴールはいつ来るか分かりません。そのためにも後半航路は、「一身二生」(二度目の人生を楽しむ)ことを意識して、「羅針盤」(自分の判断軸で生きる)を携えて、「一日一生」(いつか終わりが来る)という気持ちで航海を進めるのが良いと思います。いかがでしょうか。