■「現役」の概念を自ら変える
人生100年という言葉が出て来るようになり、「20年学び、40年働き、20年の老後を過ごす」というこれまでのライフコースがもはや過去のものとなっています。
今年18歳を迎えた若者の多くは100歳まで生きて、《22世紀》をその目で見ることができるというのですから驚きです。
これほどまでに、生きる長さ=人生の前提が変わってしまい、これまでの常識や当たり前は通用しなくなっています。これからは、一人ひとりが自分なりに近未来を読み取って行動しなければらない時代に突入です。
でもそうは言われても、経験したことのない事態です。さてどうするか?
まず確実なのは、人生の長期化で高齢世代がますます増え、少子化で現役世代はどんどん減るということ。そのため「現役」を再定義し、現役世代の人数を増やすことが喫緊の政策課題になっています。
つまり、現役年長組の45歳から60歳がその先例になるということです。その前後を含めて、世代別に整理してみました。
「現役」の再定義を私なりに考えてみました。来るべき人生100年時代に適応するために、これまでの概念をまるで変え、長い視点で「現役の形」を描きました。
人生の長期化に合わせて、「健康でいる期間」「働いている期間」「パートナーといる期間」を同時に引き上げていかなければなりません。その原動力になるのが、健康(健康力)、お金(経済力)、人間関係(交流力)の3つです。
そして長くなった人生を充実して過ごすためには、「自分の役割」と「居場所」を持ち続けなければなりません。 その原動力になるのが次の3つです。
1. 楽観と自信を取り戻す
近未来を読み取れば、対策が打てます。悲観的にならず、楽観的に行動することが大切です。あとに続く世代が後姿を見ています。いろいろな生き方や働き方の先行モデルを提供することは次世代への貢献になるのです。
2. 長寿リスクを解消する
迷惑を掛けないということです。これから75歳の壁=健康寿命を迎える団塊世代は正念場です。最も怖いのはサイレントキラーと呼ばれる糖尿病と認知症ですが、今からでも遅くはありません。新たに学んで、すぐに対処することです。
3. 自助と共助
自助努力をするだけでなく、若い世代のために何ができるかを考えます。45歳より下の世代が社会に出たのはバブル崩壊後の就職氷河期、その後は「失われた20年」です。共助の精神で手を差し伸べるのは私たちの責務なのです。
ところが現役の概念を変える必要性は分かっても一歩を踏み出せない人もいます。
エリートと呼ばれてきたり、それを自負してきた人ほど、これまでのレールから離れようとしない。長生きというパーソナルなことを社会の変化と受け止められない。そのような傾向にありますが、実にもったいないことです。
私たち戦後世代は初めて、重大な転換期を迎えています。生き抜いていくため、一旦すべてをリセットし、ゼロベースでThink & ACTすることが大切だと思います。
今年はこれで終わりです。良いお年をお迎えください。