■50代、今こそ将来を考える

 ふと、「昔はよかったな」とつぶやくことが増えた。「現実から目を背けたい」というのがホンネだ。45歳から60歳は変化の年代、特に50代を迎える人たちは大変です。

 

多くの企業では、1989年から1992年に大量採用されたバブル世代があふれ返っています。50歳前後のこの世代が役職ポストを占めてしまい、その後に続く優秀な就職氷河期世代が割を食っています。

いくら人手不足といっても、大した仕事もしないノー天気な役職者なら、お荷物になってしまいます。そこで大手企業では、役職定年という制度を作って帳尻を合わせています。

 

役員や特定の者を除いて、55歳前後には肩書を外され、収入も2割から3割減額されます。そして現場のプレーヤーになって、後輩や年下の上司の下で働くことになります。

これ以上出世できなくなるのならまだしも、実質的に平社員に戻るような現実とどう向き合っていけばいいのか…。

 

しかも定年の5年も前です。このまま会社に踏みとどまれば、定年後も5年間再雇用してもらえるかもしれませんが、これから足かけ10年を不本意な気持ちで過ごすのでは、うつにもなりかねません。

 

でも、ものは考えようです。役職定年は、自分と向き合って「やりたいことは何なのか」「そのためにはどうすればいいか」を考えたり、先を見据えて「どんな人生にしたいのか」「どうやって生きていくのか」を再設計してみるキッカケを提供してくれているのです。

 

たとえ役職定年の制度がなくても、50歳前後にとって置かれている現実は実質的に同じです。キッカケを自分で設定して、定年後やその先まで、長期のスパンで考えてみることは、長くなった人生において賢明です。

 

下の図をご覧ください。

大手企業の一般的なパターンですが、50代以降には、収入面で5つの下り階段が待ち受けています。ここでは退職金を企業年金で受け取るケースで設定していますが、ひと昔前と違って今では終身ではなく期間10年が一般的です。

 

そして支出面では、3つの見えない階段が潜んでいます。親の介護、自分やパートナーの医療や介助の費用です。この支出を無くして、その分のお金や時間を会食や社交に回すのがスマートで格好いい生き方なのかもしれません。

 

人生を存分に楽しみたいと思うのであれば、こういった現実を踏まえたうえで、処方箋を考えることが大切です。

 

50代からの不安3Kは 経済(貧困)・健康(病気)・孤立(無援)です。そして65歳でリタイアすると3Kは増幅される傾向にあります。

何らかの形で仕事を続けると収入の下り階段は緩やかになるし、生涯にわたってボランティア活動など社会参加すると心身共に健康的だし、交流することで孤立無援にもなりません。

人間究極の仕事は生きること、生涯を全うすることです。そして人生を存分に楽しむことです。そのための処方箋として、次の3つをご提案します。

 

1.生涯現役:「時代の変化」に乗ろう!

明治維新・敗戦に続く「第三の転換期」の時代に直面するフロント集団が現役シニアの50代です。2020年を境に今までの枠組みがまるで変わろうとしています。この変化の大波に乗ることを意識します。役職定年のお陰で転身できて良かったというケースが続出すると思います。

 

2.生涯健康:「更年期」をふっ飛ばそう!

目線を少しでも「前」と「上」と「外」に向けることを意識します。人生を前方まで見渡せるようになり、小さくても希望や目標を持つことで気持ちが上向くようになり、会社と家庭の外に自分の居場所を見出せるようになります。女性も男性も更年期の入り込むすき間はありません。

 

3.生涯恋愛:「パートナー」にモテよう!

人間関係の想いと時間を、会社の上司や部下、取引先の人からパートナーにシフトします。一人の人間として尊重し、異性として意識すれば新たな関係が築けます。例えば洗いざらしの白いシャツとジーンズが似合う人間に立ち返ると大人の幸福が味わえます。時代からもモテるようになります。

 

いかがでしょうか?

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