■戦後世代に訪れた転換期(後篇)
60代後半に、次のような人が増えています。
「60歳で定年、数年間は再就職先(あるいは再雇用)で働いた。あとは年金と退職金の取り崩しで何とか暮らしていけると思って引退生活に。でも1年も経つと、特段やりたいこともないし、このまま年を取って死んでいくと思うと、たまらない気持ちになる」
「人生って何なんだろう。生きていることってどんな意味があるのだろう。何だかちっとも面白くない。40代後半の頃、20年後の自分がこんなことになるとは考えてもいなかった」
このような空しさを払拭するために、こういった事態にならないためにも、出来るだけ早いうちに「後半人生のシナリオを描き、それを意識して生きる」ことがますます重要になってくると思います。
私たち給料生活者は大なり小なり、会社や組織のシナリオで動かされているので、定年や退職した時に、「さあ、これからは自分のシナリオで動いてください」と放り出されると、戸惑い、右往左往してしまいます。
シナリオを描くのは早いほど選択肢も広がるし、定年までの期間が助走期間になります。書き直しも推敲も可能です。
それに同じように働いていても、「自分のシナリオで生きる」ことを少しでも意識すれば、仕事に対する姿勢も、会社や組織を見る目も随分と深まります。ひと皮むけるのです。
前回、後半人生を4枚のドミノにみなし、4枚目のドミノ(わが人生のゴール)を自力で倒して、「いい人生だった!」と思えることを人生の軸にしました。
これを判断軸にして、ゴールから逆に、「どんなドミノを倒したいか?」=「どう生きたいのか?」を考えます。そうすると3枚目、2枚目、そして1枚目の姿が見えてきます。
3枚目のドミノ
75歳からゴールまで、人生集大成の時期です。「好きなこと」をやることが、悔いなく、面白い人生です。楽しむためには「75歳の壁」(健康寿命のことです)は邪魔なので、壊す準備を早めにしておきます。
2枚目のドミノ
60歳から75歳まで、第二の人生です。ひと区切りを付け、制約のない自由な身となって自由の扉を開けます。
LIve longer、Work longer.(より長く生き、より長く働く)時代では、好きなことを仕事にします。新しい仲間を作る、健脚と健脳を保つことも楽しくやります。自分の描いたシナリオで生きている実感が深まります。
1枚目のドミノ
45歳から60歳までの期間をどう過ごすかで行く末が決まります。仕事も人生も自分が思っている以上に長期化していきます。そこでまず、これまでの人生とキャリアの棚卸しをします。
そして、自分の描いたシナリオで生きていく自分に変身するための『学び直し』をします。「自分のやりたいこと」やそれに最も近い「手を伸ばせばできること」を見出します。
日本「第二創業期」元年の2020年まで3年、国はどんなドミノにするか構想中です。それに一歩先んじて、1枚目のドミノを倒す準備を始めませんか。