■戦後世代に訪れた転換期(前篇)

私たち戦後世代は、明治維新、敗戦に続く第三の転換期を迎え、「生き方を変えなければ生き残ることができない」という事態に直面しています。

 

明治改元は149年前です。富国強兵をスローガンに、日本近代化の幕を開けました。

前半33年を江戸時代、後半33年を明治維新の時代に生きた福沢諭吉は、66年の生涯はまるで違う2つの人生だったという意味の「恰(あたか)も一身にして二生を経るが如く」という言葉を残しています。

開国・維新を機に、研究分野を漢学・蘭学から英学へ転換したように、情勢判断と変わり身の早さが功を奏したようです。

敗戦は72年前です。焼け野原からの再出発。スローガンは経済成長でした。

官民一丸となって、貿易立国に向かって、一次産業から二次産業へシフトチェンジです。

産業界は新卒者を大量採用、終身雇用で生活を保障することで、高度経済成長を達成しました。そして「昭和の標準モデル」が出来上がりました。

男性は、新卒で就職、結婚して家族を養い、定年まで勤め上げ、あとは余生。女性は、新卒で就職、寿退職して家庭に入り子供を育て、定年まで夫を支え、添い遂げる。

 

20年学び、40年働き、10年の余生」という昭和の標準モデルを、多くの日本人は迷うことなく送ってきましたが、1980年代から始まる少子高齢化、1990年代初頭のバブル崩壊で「失われた20年」に入る一方で、人生70年が80年になり、この標準モデルは崩れていきました。

 

そして国は、長い低迷期に終止符を打ち、2020年からを戦後日本の「第二創業期」として、国のかたちを作り変えようとしています。その青写真から見えてくるのは次の5つです。

 

1.目指す社会:「出る杭を打つ」から「出る杭を伸ばす」社会へ

日本人のメンタリティや意識を変えることで、多様な人材、異能な人材がその潜在力を発揮できる社会に転換する。

 

2.働き方変革:「終身雇用(会社人材)」から「多様な働き方(社会人材)」へ

昭和の標準モデル(一直線のレール型)を払しょくして、人生100年を見据えた新たな人生モデル(網状のネット型)を個々人が作り上げる。

 

3.大学の大改革:「平均的に質の良い人材(新卒人材の育成機関)」から「多様で柔軟な人材(学び直して何度もチャレンジできる人材の養成機関)」へ

非連続的な技術革新で産業構造が短期に大きく変わる時代では、雇用も不安定になるし、身に付けたスキルも陳腐化する。そのため、いつでも学び直し、何度でも新しいことにチャレンジする人材になる。

 

4.経済成長:「製造業のキャッチアップ(モデルがあった時代)」から「自前で技術革命(AI×ロボットで勝負)」へ

日本が得意なのは、ハード×ソフト、日本×海外の融合であり、特にAI×ロボットの分野でチャンスを見出していく。AI×ロボットの組み合わせは単純作業はもちろん、より複雑な仕事も代替できるようになるので、人口減少を強みに変える逆転の発想を可能にする。

 

5.社会保障:「公助(国におんぶにだっこ)」から「自助(自己責任・自己負担)」へ

高齢者への年金と医療介護の給付が肥大化し、世代間格差が広がっている。人生100年に向かう中で、長生きがリスクにもなっているので、健康で長く働くことを奨励し、長生きリスクの解消と医療介護費の圧縮を目指す。健康に対する意識変革と自助努力を求め、健康保険制度の自己負担率も見直す。

 

さて、大きな転換期に直面する40代・50代の現役世代はどうすればいいのか。次回は3回シリーズの2回目、中篇です。

 

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