■十八番勝負を取り切れる人生戦略
前回、今年80歳になる男性を事例に、私たちの「上の世代」の人生模様を検証しました。参考になったでしょうか。今回は、十八番勝負を取り切れる人生戦略を図にしてみました。
なお前回の結びに、事例男性と同年の人たちを挙げましたが、「元氣な人:2割」「医療・介助生活の人:6割」「既に亡くなった人:2割」の構成になっているようです。
その元氣組に入っている森喜朗元首相は現在、仕事と医療生活が共存しています。最近出された『遺書』(幻冬舎、2017/4/20発行)で、「私は今、2つの死の恐怖と闘っている。一つはがんであり、一つは小池都知事の刃だ」と書いていますが、なんとも壮絶な晩節です。
このがんも生活習慣病の一つです。女性の46%、男性の62%がなる国民病で、「医療生活」の代表例です。
なぜ、こんなにがんが増えているのでしょうか?
明解な理由があります。長生きするようになったからです。体内にできたがん細胞は20年以上かけてがん(悪性新生物)になりますが、ひと昔前の人生70年時代では、がんになるまでに亡くなっていたのです。
また、認知症と寝たきりは「介助生活」の代表例です。どちらも生活習慣病の一種で、増えている理由も長生きするようになったからです。
ではなぜ、医療テクノロジーはこれだけ進化しているのに、がん・認知症・寝たきりを治せないのでしょうか?
それは、生活習慣病だからです。現代の医学・医療技術は延命治療や対症療法はできても、根本的に治すことは難しいのです。
長い年月をかけてなる生活習慣病(=生活習慣の病気)は、生活習慣(=思考習慣・行動習慣・食習慣)を変えることでしか治せないからです。つまり、生活習慣は自分で変えるしかないのです。
75歳を超えると「医療・介助生活」になるのが現状です。私たちは、この“75歳の壁”を意識して、十八番勝負を取り切れる「体と脳の耐久力」を長期戦略で身に付けなければなりません。
WHO(世界保健機関)は、医療・介助生活の期間のことを「延命期間」と表現し、「長期にわたり、いつ終わるか分からない」と指摘します。なんとも皮肉な言い方です。
でも、長期の医療・介助生活を経て亡くなる人生なんて真っ平ごめん。いい人生は最後の5年で決まる――「終わりよければ全て良し」です。
それを目指すための方法は次回の健康豆知識で掲載予定です。