●「先生・教える」という言葉の魔術
人前に立ち『伝える』という研修の仕事を、もう30年しています。人に伝えるには、まず自分が、伝える内容を熟知しているのが大前提です。
テキストや資料を読みながらでは、伝わりません。だからどう伝えるか?を考えてきた30年でした。
私は研修講師とは「伝える人」だと思っています。それも企業の育成担当者の代理として。各企業が社員を育成する際に、これだけは学習して欲しい、知っといて欲しいと思うことの一部を、外部の専門家として『伝える』のが私の役割りです。
でも研修時には「先生」と呼ばれ「教える」という立場に置かれます。これが曲者なんです。「先生」と「教える」の二つが揃うと、伝えることが弱くなり、「どうすれば教えられるか?」「どう理解させればよいか?」に立場がシフトするのです。結果、妙に偉そうな人になってしまうのです。
これは怖いことです。
伝える相手を置き去りにして、突っ走ってしまうのです。自分の世界に入ってしまうのです。教えている自分の姿に酔ってしまうのです。
そうなると『伝える』ことは不完全になります。もう30年たかが30年、このことに周りを見ながら悩まされています。
研修講師とは何者なのでしょうか?まだまだ、修行の真ん中です。