■閑話休題ー5月1日の新聞各紙より

1989年1月8日に始まった「平成」は幕を閉じ、2019年5月1日の昨日から、新元号「令和」の時代がスタートしました。新天皇は59歳で、戦後生まれ初の天皇です。新聞各紙は、「新天皇陛下 即位」「令和時代 幕開け」と、令和ブームを盛り上げます。

そして、私達の気持ちの底にある、心機一転の “リセット願望” に応えてか、どの新聞社も、「令和時代はどうあるべきか」について、論説を展開しています。そこで今回は、各紙の論説から、「令和時代の課題」をあぶり出してみます。

(1)朝日新聞

■「特に重い課題は、“急激な人口減” である。現在7500万人の生産年齢人口は、2040年(令和22年)には6000万人を割り込む」と強調しています。
■この事態を重く受け止め、「高齢者や女性がより働きやすい “雇用システム” にしていくことが喫緊の重要な課題だ」と表明しています。

(2)毎日新聞

■外務省が、外国政府向けに説明した、令和=「beautiful harmony」(麗しい調和)を受け止め、「令和の精神である “調和”とは、同質者の集合ではなく、“でこぼこの個性を互いに認め合える多様性を尊重すること” である」と解説します。
■「多様性を尊重する精神が、グローバル化する日本、押し寄せる巨大な変化に適応する日本人の “しなやかさ” と “辛抱強さ” を醸成する」と表明しています。

(3)読売新聞

■「平成の日本は、守りの態勢に入って、停滞してしまった。世界を席巻していた日本企業は勢いを失い、産業の空洞化も進み、技術革新力の見劣りは否定できない。いずれも、守りに入り、現状に安住した結果である」と厳しい口調です。
■「過去の成功体験から決別し、もう一度、“創業する” という新たな気概を持って、力強く新しい時代を歩み出していこう」と表明しています。

(4)産経新聞

■「今年の元旦、“さらば敗北の時代よ” という論説を掲載したが、20代の若者から、『その責任は昭和世代にある』と指摘された。もっともである。敗北の責任は、私を含めた昭和世代にある」と自分事として捉えています。
■その上で、「このままボーッと生きてるわけにはいかない。国家戦略を構築し、社会制度の変革に取組まなければならない。この重要性を訴え続ける」と表明しています。

(5)日本経済新聞

■「NHKは “ゆく年くる年” ならぬ “ゆく時代くる時代” を放送し、令和時代への期待を高めるが、でも、実は、お祭り騒ぎの裏側で危機が迫っている。少子高齢化・人口減を克服する道を見ようとせず、企業は昭和の成功物語にしがみつき、世界の中での存在感は低下する一方だ」と危惧します。
■そして、「来年は東京五輪、6年後には大阪万博と祝祭が続くが、昭和の焼き直し的なイベントにかまけ、厄介事を先送りしたままなら、本当に危うい」と警鐘を鳴らします。

■「成長を取り戻すために、やるべきことは、“人材の再教育” と “雇用ルールの整備” である。そして、日本を再び “創業” することが必要だ」と表明しています。
■その上で、歴史の事例を語ります。
『人も国家も逆境や悲劇に立ち向かうときに未来への工夫が生まれる』—―シンガポール建国の父、リー・クアンユー元首相の言葉である。1965年、マレーシアから追放される形で独立を余儀なくされ、水や食糧の自給もままならなかった。危機感から大胆な外資導入や金融など知識産業へのシフトを進め、アジアの先頭を走る国を創り上げた。

新聞5紙の論説には、共通するキーワードがいくつかあります。
たとえば、「押し寄せる、巨大な《変化への適応》」「もう一度、《創業するという気概》」「女性・中高年男性を含む、《人材の再教育》」「日本型雇用システムの崩壊と《雇用ルールの再構築》」―― 令和時代の課題を解決するキーワードだと思います。