●何を目標にしていますか?
「人生の目標は?」と聞かれますと、これは中々答えるのが難しいです。もう半分は過ごしてきましたが、人生の目標とかは、あまり考えず、日々の繰り返し、一日一日一所懸命に生きることが人生だと思ってきました。
就職する時も、自分に合った仕事を見つけるという発想はなく、とくに好きな仕事、やりたい仕事もなかったように思います。
でも好きなこと、やりたいこともそのうち見えてくるんじゃないか、出し惜しみをせずにやっていこう、できるだけ上を向いて歩いていこう、と楽観的に考えていたように思います。
今の学生も、若い人たちも、私とは随分違っています。年代の差は影響していると思いますし、時代の背景も、社会の価値観も大きく違ってきています。でもそれ以上の差があるように思えるのです。
自分らしさとか、自分の人生を彩ることに、価値を見出しているような気がします。今だけ真剣にと見ているように思えてならないのです。
研修で目標を考える時も、今の自分が一番大事で、将来はあまり考えていませんし、考えたくないようです。ひと昔前のように、出世して大きな仕事がしたいとかいう単純な目標は出てきません。
でもその分、「どう生きるのか?」「どうありたいのか?」ということに価値を置いているように思えます。
おばさん、おじさんにとって、何を考えているか、分かりにくい若者たちは、案外面白い発想をしています。
時代の推移にも敏感で、多少悲観的で今を見つめている、大きな夢の空しさを感じている、この若い人たちに、「先生の人生の目標は何ですか?」と聞かれると・・・、目標を考えたことが無い私は、怯みます。
けれど講師としては、堂々と言うのです。「死なないこと、決して挫けず、最後まで威風堂々と生きること」、それが目標ですと。
今を大事にするのは素晴らしいことだけど、私のことは棚に上げて、若い人たちには、目線を少し上にあげて歩いて欲しいと思うのです。自分の意志で将来を楽観的に見てもらいたいのです。そうすることの魅力を伝えるのが、年長者の役割だと思うのです。