忘れることの効用
私は忘れても良いような、つまらないことをよく覚えています(大事なことは時には忘れることもありますのに)。今更覚えていても仕方無いとか、言った本人が忘れているようなことを覚えているので、始末が悪いこともしばしばあります。
人に言われた厳しいことを、クヨクヨと覚えていたり、失敗をリカバリーしても、元の失敗はいつまでも覚えています。これではせっかくのおばさんパワーが半減してしまいます。
反省することは大事です。でも私には「同じ失敗を繰り返さない」という思いを強く持ち過ぎる傾向があるようです。それで失敗したことばかりを鮮明に覚えていて、次の行動に踏み出す勇気が失せてしまうことがあります。
覚えていることは悪いことではありませんが、忘れることをしないと新しいことが入ってこないように思えます。一つのことに拘っていつまでも覚えていると、次のものが入りにくいのではと思います。
病気になってからは、仕事と付き合いの範囲を狭くしています。当然のことながら、覚えることや考えることも昔と比べると格段に少なくなっています。反面、一つのことにかける時間が多くなり、前よりも深く考えることが出来ます。そうすると、今まで見えてこなかった、忘れて良いものが見えてきます。これは中々良いことだと思います。
「忘れることは悪いことではない」と思えると気持ちがスッキリします。一歩進めて、「忘れても良い」ということはストレスを緩和してくれます。それに前よりも物覚えが良くなっています。不思議です。家人は私とは正反対で、覚えていて欲しいことさえ今必要でないことは覚えません。忘れる効用というよりも、覚えない効用を説く傍目には困ったタイプです。家人を見ていると楽に生きているなと時々憎たらしくもなります。
どちらにしても、小さな存在の私が何でも覚えていることに遮二無二頑張っていても大したことなんて無いんですよね。