「OJT・対話、関わり」
今職場では、組織に馴染めずに悩んでいる人が沢山存在しています。仕事や職場に疲れ、「うつ」になる人も増えています。
色々な理由がありますが、必ず上位に顔を出す理由が、「人間関係」と「仕事の進め方に対する不安」の2つです。
特に学生時代に何にでも真面目に取り組んだ人ほど、仕事に対する不安感が強いようです。仕事が上手く進められない、“その延長で”、仕事上の人間関係に悩むというパターンが増えています。職場は「仕事をする場」ですから、自分の仕事を進め、関係者に報告・連絡・相談をしていれば、仕事上の人間関係に悩むケースは殆ど生じないはずなのです。
そこで「仕事の進め方」を教え、その人材を活かしていくために大事なのが、OJT(On the Job Training)です。
OJTの定義を私は、「先輩や上司が職場に於いて、部下や後輩に対して、“計画的”に、“重点的”に、そして“継続的”に仕事を教えていくこと」と思っています。場当たり的や思い付き的な指導・育成では、効果が薄いだけでなく、部下や後輩から不信感を買う結果にも成りかねませんので注意が必要です。
OJTを実施する上で、日常の会話、仕事の指導のやり方、指示の出し方、叱り方、褒め方、人間心理等々知っておいた方が良いスキルは沢山あります。
これからしばらく、その話しを書きたいと思っています。読んでもらって、役に立てば嬉しいですが…。
まずOJTの初めの一歩は対話、コミュニケーションを十分取ることです。けれどもこれが中々難しいのです。上司や先輩も緊張はしますが、部下や後輩はそれ以上の緊張感を持って臨んできます。
そこで注意すべきは、
1)質問しやすい雰囲気作りをする→日常の様子を聞いたり、自分の事を少し話したりして相手をリラックスさせ、気軽に質問しやすい雰囲気を作ることです。忙しいからといって放置してはいけないのです。
2)指導するときは仕事の目的や全体像を伝える→これからやることは何のためかを伝えます。目的が分かれば、主体的に行動出来るようになるものです。自ら考え、動く人材にさせるための基本です。
3)仕事は手順を追って説明する→手順の区切りをはっきりと示し、一度に沢山のことを盛り込まないようにします。私もそうですが、上司や先輩はつい、アレもコレも話したくなるものですので、要注意です。
4)日頃からメモを取ることを習慣付ける→人間が覚えられることはほんの僅かです。仕事の指示を受ける時には、メモを取らせます。そのことで確実に情報を受け止める習慣を付けさせるようにします。自分で記録を残していると、何か疑問が生じた時にも、周囲に積極的に質問出来るものです。
5)部下や後輩の理解度を確かめながら、相手がわかる言葉で伝える→相手の知識を確認しながら話しを進めます。が、知らないことを呆れたたように言うことは禁物です。日常から仕事ベースの話しを気軽にしていくことも大事です。プライベートの話しも悪くはないですが、まずは仕事の話が出来る関係をキチンと作ることが大事です。
当社の常務で一緒に会社を作った松波とは20年来の付き合いですが、一番互いに話すのは、仕事のことです。勿論プライベートもある程度知っていますが、一番は仕事観です。そしてそれが心地良い関係を生んでいます。
近頃では、部下や後輩の全てを把握して指導することを勧める人もいますが、私はやっぱり仕事を通しての関係作りをキチンとすることが大事だと思います。