女性の部下

部下指導研修の話しを書いていて、ふっと「女性活用プログラム」を実施したある会社の管理職Aさんのことを思い出しました。

彼は30代後半だったと思いますが、大手金融会社の営業課長でした。私達が実施した女性活用のための管理職研修に、オブザーバーとして参加していました。というのは、彼は非営業職のベテラン女性を営業部隊へ配置転換する「新プロジェクト」の担当者で、日夜女性の営業部隊作りに邁進していました。

新プロジェクトの支援として、営業に転換されるベテラン女性の上司達に対して、「女性部下への対応」の研修を私達が請け負っていたのです。上司達への研修が進んでいく中で、一つのクラスの講師から、今回の研修を企画し、全体コーディネイトをしている私にSOSが入りました。急いでそのクラスに駆け付けると、部屋の中で押し問答があり、講師が泣いていました。

 

プロとして、仕事の場で泣くのは大いに問題ですが、そのクラスの雰囲気は切羽詰って息苦しいものでした。事情を講師と参加者から聞くと、講師が質問に曖昧に答え正解を出さないことに腹を立てた一部の方が、講師の交替を求め、出て行くように講師に言ったとのことでした。

控えの講師も居ましたので、交替は可能でしたが、どの様に収めようかと思案していると、突然、Aさんが救世主の如く現れたのです。

「我々は前人未到の女性営業部隊を作ろうとしている。皆さんはこれから今までとは異なり、ベテランではあるが、営業としては未成熟な、今まであまり接したことも無いタイプの女性を部下として使って成果を挙げていかなくてはならない。今日このクラスであった様なことは、これから日常茶飯事に起こる。その度に声を荒げて相手を責めていたら人は育てられない。今起きたことを一つの事例として、解決を自分達でして欲しい。但し全体責任者の江尻にも言い分があるだろうから、それも聞いたうえで議論をして下さい」と話されたのです。

臨機応変さと度胸の良さと頭の回転の速さに感激しました。彼は営業に転換した女性にとってもずっと良きメンター(=相談者)でした。

しかし問題が一つ…、彼に傾倒するあまり、直属の上司に懐かないベテラン女性社員が続出したのは、人事部にとっても計算外でした。「女性は組織ではなく、人に付く」これは今も20年前も変わらないようですが、かつて、女性の部下の特徴は「泣く、群れる、むくれる」だとか言われましたが、今は男性の方がその傾向にあると、嘆くベテラン管理職もいます。随分様変わりもしてきました。部下ということに男も女も無いのですが、指導面での違いは時代の影響でまだ沢山でてくるような気がします。

 

 

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