待望の吉野(車椅子は私だけ)
9日の朝、大阪阿部野橋駅から近鉄特急で奈良吉野に向かいました。是非行きたいと思っていながら、吉野に対するイメージは全く無かったので、近づくにつれ、期待感だけが大きくなっていきました。
降り立った吉野駅は私鉄沿線の観光地といった処で、西行の歌の世界や、世界遺産の霊山という神秘な雰囲気はありませんでした。そこからロープウエイに10分程乗って吉野山駅まで行きました。このロープウエイがまた一苦労で、階段を上り、ゆれるゴンドラにへっぴり腰で乗り込みました。
吉野は下千本、中千本、上千本、西行庵のある奥千本へと、山の麓から山頂まで3万本の山桜で覆われています。9日は中千本が散り始めという状況でした。修現道とも言われるだけあって、ロープウエイを降りてからも、豊臣秀吉が「絶景じゃ!一目千本じゃ」と叫んだ中千本まで結構な上り坂で、車椅子を押してくれた家人や友人はかなりしんどい思いをしていました。
でも全山見事な桜景色で、西行や秀吉の気持ちが分ったような気分になりました。そんな気分に浸り、桜の花びらが舞う中での昼食は、参道の枳穀屋(絶品の吉野寿司)で調達した、あまごと鮎の串焼きとその押寿司の美味しさを倍増させてくれました。景色に心奪われ、同級生とお酒を酌み交わし、昔話に興じました。
今回の吉野はここで終わりのはずでしたが、一人の友人が「ここまで来たんだから、もう少し行こう」ということで、上千本まで行きました。しかしここからの道は急な上り坂で、上から降りてくる観光客に「こりゃ大変だ、頑張って、大丈夫?」と何度も声掛けされました。
中千本の桜も見事でしたが、上千本の「老人の休憩所」(老人がここまで登って来れるの?)での桜は今まさに満開で見事でした。また山々が隅々まで見えて、桜一色でした。
春爛漫の吉野は、友人の有り難さと、桜の力強さと、生きていることへの感謝を私に再認識させてくれました。次回も桜便りです。