「上野の森」
初春の暖かい風に誘われて、上野の東京国立博物館で没後400年「長谷川等伯展」を観てきました。キャッチコピーは、「時は桃山。天下を夢見た絵師がいた。時代を駆け抜け、伝説となった」。等伯は、豪華絢爛たる桃山時代の絵画の世界をリードしそこに君臨した「狩野永徳」率いるトップ集団に果敢にも挑んだ能登七尾(田舎)出身の絵師です。
20万人を越える入場者を集めたこの展覧会は、入り口まで30分待ちと会場での入場制限という盛況ぶりでした。でも車椅子の私は優先入場が出来て、待たずに入館出来ました。とてもラッキーです。けれども大混雑している館内では車椅子での観覧は難しく、とても作品の近くには行けません。大勢の人の後方から仰ぎ観るのがやっとです。
そんな中で代表作「松林図屏風」をゆっくり一番前で見ることが出来ました。日本最高峰の水墨画(国宝)だけあって幾重にも人垣が出来るほどの人気だったのに…。それは見知らぬ男性が「ここで観なさい」と一番前から響くような声を掛けてくれたからです。それに応えるのは気恥ずかしかったですが、とても嬉しい親切でした。
等伯の画題も画風も大きく変遷し、見応えがありましたが、一緒に行った友人6人の感想もそれぞれに大きく異なり、面白くも楽しいひと時でした。
その後、忍ばず池の周りを、杖をついて歩きました。意外にスタスタ歩くことが出来て、友人たちを喜ばせられました。上野の森には、早咲きの寒緋桜が満開に咲いていたり、骨董市が催されていたり、路上パフォーマーが居たりと独特の賑わいがありました。
街には、例えば浅草や日暮里などもその土地特有の匂いがあって、面白いです。これからも可能な限り色々な場所に行きたいと思いました。