●深く理解すること
情報が簡単に手に入る時代です。スマホやパソコンですぐに検索できるのは大変便利ですが、この便利さが、情報を得てから自分なりに考えたり、自分の中で情報を組み合わせて編集し、知識を知恵に変えることを遮断している気がします。
研修中にも講義に出てきた言葉を検索したり、実習の答えを捜そうとする受講生もいます。
せっかく講師や同僚という生身の人間が一緒にいるのですから、「聞いたり討議すれば良いのにな」と思います。
当社ではミーティングの時に、読み下しをよくします。分かっていると思っていた情報でも、一字一句読み下していくと、思わぬ発見がありますし、理解が浅かったと気づくこともしばしばです。
声に出して読み下し、意見交換をしていく中で、理解は深まります。理解が深くなると、その内容が自分の中にしっかり住み着きます。そうすると、発言にも深みが出てきて、さらに良いことが起きます。
それはその内容が自分だけではなく、一緒に読み下している仲間との共通の問題意識や共有の認識に昇華するのです。
この瞬間が好きです。「あー!こういうことか」と他者の意見が自分のものになるのです。
深く理解できると、人に伝えることも、教えることも出来るようになります。そうすると、その内容の専門家でなくても、自分の領域と繋がってくるから不思議です。これが嬉しいのです。
その経験を踏まえると、一つ気になることが出てきます。それは研修講師としての私は、講義を深く理解させているのか? 耳触りの良い言葉と勢いで喋り捲っているのではないか?
まだまだ勉強しなくてはと修行中です。