●問題になってないから見えないこと
教育研修の世界に入って、難しいなと思っていることは、「潜伏している問題を見つける」ことを指導することです。
30年前に女性活用がクローズアップされた時も、目に見えている問題には対処出来ましたが、活用が進んだ先に起きてくるであろう問題への着目は、私自身も周囲も時代も疎かったように記憶しています。
顕在化している問題は、仕組みの見直し、考え方の刷新をするのに有効な力を与えてくれます。例えそれが大きな問題だとしても、目の前に見えるので、それこそ「ピンチをチャンスに変えてやるぞ!」という気持ちで取組めば何とかなるものです。
でも、これからの時代を読み、そこから想像して、顕在化してくるであろう問題に思いを馳せるのは、至難の業です。第一に、想像する力、見えないものをイメージする力を得ることは難しい。
柔らかい頭、澄んだ心、徹底して考える力、常識や前提を疑う力、精度の高い情報を得る行動力。何があれば良いのか?
今のような変化の時代において、上位者に尚更求められるのは、想像する力、見えないものをイメージする力です。これをどのように身に付けていけば良いのかについては、まだ全容を掴み切れてはいないように思います。
そして、この想像する力、見えないものをイメージする力は、問題発見においてだけ大事なのではなく、部下を見る目、その指導にも大切なものです。
例えば、言われたことを無難にこなす部下がいれば上位者は安心しますが、その反面、問題も起こさず平均点をクリアしていることで油断します。小さくても色々な問題が潜って絡み合い、突然顕在化した時には難儀な事態になっているやもしれません。
それに比べて、失敗をやらかしたり、とかく問題を起こす部下は、その都度、顕在化するので分かりやすいし、指導しやすい。上位者が手間を掛けるから、ステップアップしやすいし、当人の課題も次々に見えてくる。周りにも活かせます。
そうすると、その部下に目が多く行ってしまい、無難にこなす部下のことは忘れがちになります。それでは上位者半人前です。
目に見えないものを、想像し、それを見える化して、そこにまっすぐ向き合う。難しいことだと思うのです。未だ苦戦しています。