●分かっちゃいるけど、難しい
この研修業界に入った頃、上司からこんなことを聞きました。それは、「目は二つ、耳も二つ、でも口は一つ。だから、相手の言うことにはしっかり耳を傾けて聴く。状況や相手の表情を自分の目でしっかり見る。それが大事。自分から発する言葉は少なくして、目の前の相手の言葉と表情に集中すること」。
これは、営業をする時の心得として聞いたのですが、そのまま部下と接する時の心得としても活用できます。私たちは部下に対して、つい話し過ぎてしまいます。
少しでも自分の記憶(たとえ事実と異なっていても)と違うことを部下が言おうものなら、鋭く訂正します。部下が自分を正しく理解していなかったら、むきになって否定します。
そのくせ、自分は分かっているつもりだけで、状況や部下を全く把握していません。自分の勝手な思いだけで、部下に対してあれこれ評価します。
それは間違ったことなのですが、ついやってしまいがちです。何故でしょうか? 何故自分の方が正しいと思ってしまうのでしょうか?
理由は様々あると思いますが、私は『自分は相手より上だと思っているから』だと思うのです。年齢も経験も、役職も。
上であるわけですから、部下に対して威厳を見せなくてはなりません。カッコ悪いことはできません。そして、それらの行動がうまくいかないと、訳の分からない理不尽の嵐に突入してしまうのだと思うのです。
でもです。上長だとしても完璧なことをいつも出来る訳ではありません。無理はいつか綻びます。
正しいことが出来るように努力することは大事です。でも出来ないことは無理はしないことです。部下はいつも見ています。でも敵ではありません。一緒の船に乗っている仲間です。
部下がいること、指導することは、確実に自分を成長させます。部下の言葉に耳を傾け、部下と共に成長するのもいいかなと思うのです。