沖縄
米軍の基地問題で渦中の沖縄ですが、総勢10人引き連れて、豊見城市(とみぐすくし)に2002年12月14日開業したアウトレットモールの仕事で行ったことがあります。開業前の確か2002年11月から2003年2月にかけて4ヶ月の仕事期間でしたが、私を入れて三人だけは、4ヶ月間ずっと滞在しました。
この期間は正月も休むこともなく毎日9時から21時まで仕事をしていました。人材研修だけではなく、インフォメーション(お客様へのキメ細かい配慮が謳い文句でした)の運営支援もしていました。毎日施設の中をグルグル廻り、お客様にとって不具合は無いか調べていました。
大晦日はカウントダウンとお祝いの花火の打ち上げがあって、レンタカーを運転してホテルに戻ったのは午前2時でした。車を置き、ユニフォームを私服に着替えてから、年越し蕎麦で正月気分を味わいたくて、ホテル近くに一軒だけあった(沖縄ソーキそばではなく)立ち食い日本蕎麦屋さんで、ビールで乾杯して蕎麦を啜り込んだものです。
毎日が緊張の連続でしたが、不思議と疲れたり、嫌になることはありませんでした。それはひとえにそこが沖縄だったからだと思います。冬でも暖かく、時間もゆっくりと流れ、人もゆったりしています。ある日一軒の店が時間になってもオープンしないことがありました。私はとても焦りましたが、電話の向こうの非番の店長はいたって落ち着いていました。「今から僕が行くから大丈夫さぁ?」。
「時間がとっくに過ぎているんだから大丈夫じゃないゾ!」と怒っている私が場違いな存在だと思い知らせられました。店は何事も無かったように、1時間遅れでオープンし、一日の売り上げも稼ぎ無事に終了しました。
沖縄は懐の広さを持っています。戦争の傷跡も沢山抱えていますし、将来への不安もあります。でもそこで暮らす人々はどこか現実を超越した大らかさを持っています。たとえ辛い世の中であっても、「憂き世」を「浮き世」に転換する、そんな地べたに足が着いた生きる力を持っています。
東京での仕事を全然気にせずに4ヶ月間滞在できたのも、ずっとホテル住まいでも苦痛ではなかったのも、驚かされることが沢山あっても無事に過ごせたのも、きっと沖縄の底力のお陰です。今回の基地問題が話題になったことで、再び沖縄について考える時間が持てました。忘れてはならない過去とこれから迎える未来が沖縄にはあります。
沖縄の人達と協働できる仕事にまた関われたら幸せだと思っています。