プールで歩いています
練馬区立中村南スポーツ交流センターの温水プールに行きました。
西武池袋線練馬駅から車椅子で20分程掛かりますが、このプールはスロープで車椅子ごと入れますし、歩行専用の回路コースもあります。特にこの回路コースには手すりが付いているので、私のような状態の者にはもってこいです。
歩行補助装具を外して歩いても、地面や床と異なりプールの中は浮力が働くので足もスムーズに出ます。何よりも転んでも怪我をすることがありませんので、足や手を思い切り動かすことが出来ます。また、ジャグジーでゆっくり体を温めることも出来ますので、お気に入りなのです。
そのプールで私よりも一ヶ月早く脳梗塞を発症した中年男性と出会いました。彼は単身赴任なので、私のように家族の支援を受けることは出来ません。奥様は大阪で働いていらっしゃいます。大変だなと思いましたが、彼の右側の後遺症は私と比べると格段にその症状は軽いように見えます。この病気は誰とも一概に比べられない程に、一人ひとりの後遺症が違うものです。それでもつい比べて羨ましく思ってしまいました。
彼との会話の中で、リハビリ(後遺症の改善)と再発防止(体質の改善)は全く違うものだということを再認識させられました。何よりも不安なのは、今回は軽かったので現場復帰できそうだが、いつまた再発するか分からないことだと、彼は何度も言っていました。例え後遺症は軽くても一度病気になると、次々と心配の種は出てくるのです。根本治療が出来ないと辛い心配は尽きません。
先程のつい比べてしまう話ですが、周囲の尽力で旅行に行ったり、活動的な日々を送っていると、つい健常な状況と今の自分を比べてしまいます。小さな変化を喜びたいと頭では思っているのですが、この坂道を駆け上がりたい、大きく両手を広げて友人と手をつないで歩きたいとか思ってしまいます。そんな今は出来ないことに執着する自分が居るのです。
今月の29日には54歳になります。十分分別のある年なのに、まだまだ修行が足りません。ほんの4ヶ月前は寝返りも打てず、座ることも出来ず、顔の麻痺もあったのです。そんな
状態を忘れずに、ほんの小さなタイミングのよさで生かされた幸せを喜ぶような人間でいたいものです。