OJT・褒め方、叱り方
褒めることは難しい、それ以上に叱ることはもっと難しい。このような意見を研修の中では沢山聞きます。
私達は人から嫌われるのを怖がるあまり、事実を突きつけ、何故叱られるのかを相手に分かりやすく伝えて、キチッと叱ることが出来にくくなっています。それだからまた褒めるときも、何故褒められているのかを相手に分かりにくくしています。
私も褒めることも、叱ることも得意ではありません。その結果、言いやすい者には言いますが、そうでない者には言わないという偏ったコミュニケーションに走ってしまいます。そして、その行動は徐々に人間関係も希薄にしていきますし、ストレスも貯まります。怖い話です。
この業界に入って直ぐの頃、ある研修会社の「叱り方研修」を受講したことがあります。中々インパクトのある研修でしたが、その一番のポイントは「叱るときは思い切り叱る!」でした。確かにそうなのですが、これが難しい…。
でもエクスキューズやマイナスのことばかり言っても仕方ないので、ルールだけでもキチンと自分のものにすることです。後は繰り返して慣れるしかありません。
そのルールとは、
I.褒めるも叱るも日頃からの関わりが必要ですが、関わる上で大事な項目が二つあるということです。
一つ目は、「的確な指示(“意思伝達のコミュニケーション”)」をすることです。
そのポイントは
1)ゆっくりと順序立てて伝える
2)部下や後輩のレベルにあった言葉を用いる
3)要点をまとめて部下や後輩の理解を確認しながら行う
二つ目は、「積極的傾聴(“意思疎通のコミュニケーション”)」をすることです。
そのポイントは
1)上司、先輩として部下や後輩の良いところを見る(美点凝視)
2)部下や後輩を受け入れる
3)部下や後輩に共感的理解を持つ
II.「叱る」を実施する際には、7つの注意点があります。
1)言うべきことは言う
○特に基本的なルールやマナーは、早めに徹底しないと、段々修正が効かなくなる
○どこが悪いのか、具体的に示す
○キチンと理由を説明する
2)時間を置かずに注意する
○但し、大勢の前で叱りつけたり、お客様の前で叱りつけたりしないこと。別室で注意するなど状況を考える
3)人格を否定しない
○上司や先輩であっても人を追い込んだり、人格を傷つけることは許されない。人に対してではなく、事実に対して注意すること
4)感情のままに走らない
5)ついで叱りをしない
○過去のことを引っ張り出さないこと
6)人と比較しない
7)その後はいつも通り接する
特に最後の7)が最もはまりやすい落とし穴です。とかく自分のためにフォローを入れてしまうことがありますが、それをすると注意したこと、叱ったことが無意味になりますので、要注意です。
III.「褒める」を実施する際には、4つの注意点があります。
1)褒めることで部下や後輩を勇気付け、今後もチャレンジすべき方向を示す
2)良く出来たことや努力したことは、すぐに具体的に褒める
3)途中過程で努力したことをねぎらう
4)周囲の人にも伝える
「褒め上手は育成上手」といわれています。人は自分のことを認めてくれる人が好きです。でも、叱るがキッチリ出来る人はそれ以上に育成上手です。大事なことは相手に関心を持ち「無視しない、放置しない」ことだと思います。