あの日に帰りたい…

パソコンメールを整理していたら、脳梗塞を発症する直前まで、仕事のことで一所懸命にメールをやり取りしている自分に再会しました。

そこには、数日後に倒れることなど微塵も感じていない自分が居ました。正月の間も忙しいことを嘆いたり、来年の予算を組んだり(当社は12月決算です)、新しい研修プログラムの営業方法等を考えたりしています。

少しの哀しさとほろ苦さを感じます。でも負け惜しみではなくて、脳梗塞を発症して、プラスのことも多々あります。だから決して悔やんではいません。

 

そんなことの延長で、「若い頃に戻りたいか?」という話題が家人とスタートしました。それぞれ問題が山積している私達ですが、今が一番幸せだと思うところは共通です。

それでも、私は出来ることなら高校一年生に戻りたいと思っています。しっかり高等学校の勉強をしたいと思うのです。振り返れば、高校の頃は本当に勉強しませんでした。それを大いに後悔しています。苦手ではありますが、生物や化学、物理の基本をもう一度勉強してみたいです。日本史の全体の流れや関心ある時代の史実をキチンと把握したいです。

受験を考えなければ、高校時代の各教科に沢山詰まっている知識をじっくり見直せると思うのです。勉強はいつでも出来ると言われますが、あの頃の時代の匂いや空間の中で、あの教師陣と友人達と出来たらとても幸せだと思います。勿論不可能なことだから、思い焦がれるのだと思いますが…。

 

しかし、家人は一度も「あの日に帰りたい」と思ったことが無いのです。自分を持て余していた学生時代には戻りたくないし、倒れるぐらい働いた企業戦士時代にも戻りたくない、しんど過ぎると言います。完全燃焼したのか、悔いは無いのかというと、そうでもないようです。過ぎたことは全部忘れるという性格に起因している発言なのでしょうか。

以前、先輩の女性達が、「50代の今が一番落ち着いている。今が一番いいと思う」と言っているのを聞きました。その頃は良く分かりませんでしたが、今なら理解出来そうです。確かに50代になって、私の生活はやっと自分のリズムを掴みましたし、人間関係の複雑さもサラリとかわせるようになりました。肩の力も抜けてきて、私の自然体の姿に近づいています。そう考えられる「今が一番」かもしれません。

でも、つまんないプライドを持ち、世間知らずで、唐突な告白をしたり…、そんな高校生の自分を叱りに、あの日に帰りたいと思ってしまう自分もまだいます。

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