●傍目八目
小学校四年の時の担任の先生はとても変わった人でした。可愛がってもらいましたが、極端なえこひいきも多かったですし、ソシアルダンスが趣味でPTAのお母さんたちとよく踊っていました。私たち生徒を子供扱いしませんでした。その先生から「傍目八目」という言葉を教えられました。「周りの人間の方がみどり自身よりみどりのことはよく分かっている」的なことを言われ、とても怖いと感じました。
この言葉が私の人との付き合い方を形成したと思います。「人は私を見切っている、下手なことでは通じない」。子供の頃から他者との付き合い方をあれこれ考えることがすべてだったように思います。
どうすれば相手をこちらに引き込めるか?相手の信頼を勝ち取るにはどうしたら良いのか?人は私をどう思っているのか?
研修業界に入って30歳の時に心理学者の先輩に「江尻にはアイデンティティがない」と言われるまで、この思考は変わりませんでした。それからは自分を持つことに邁進しました。人との距離感もいい具合に保てるようになりました。
でもです。傍目八目の言葉に怯え、あれこれ考えていたあの時も今となってはいい期間をだったと思います。リモートが主流になってきた今でも他者との距離感は大事だと思います。自分は大事、でも他者のことも大事にしたい。自分だけが正義でも良いわけでもないと最近しみじみ感じます。これもコロナ後の良きことかもしれません。