■三大不安と向き合う(その3)

人生の三大不安のうち、これまで「お金」「健康」について検証してきましたが、今回は三つ目の「人間関係」です。

この「人間関係」も、人生の長期化により、これまでの考え方が通用しなくなっています。例えば現在50歳のミドル世代は、男性95歳/女性100歳まで、あと45年間/50年間生きる可能性が十分あり、「いかにして人や社会と長期的に良好に関わるか」ということが重要なキーワードになります。

経済も人口も右肩上がりで、定年が55歳から60歳になった人生70年の昭和時代では、男性ビジネスパーソンは、組織の中で40代後半や50代前半になると、それなりの役職や重職が与えられて、発言する場と権力を持ち、それなりに輝けました。会社人間や男中心社会の住人であっても、定年後は人生最後まで10年足らず、配偶者も折り合いをつけてくれ、なんとか人生を全うすることができていました。

ところが平成の時代になってバブルが弾け、リーマンショックも経験し、今では役職定年制が定着して、55歳前後で一兵卒に。65歳まで雇用延長でも、組織は一部の人間以外は雇用したくないのが本音。そのため再雇用されても、金銭面、やる気の面でくすぶり、組織内で疎外感を味わい、老け込んでしまいがちです。

でも今や、75歳まで働くのが当たり前の時代になろうとしています。現に、小泉進次郎 厚生労働部会長が、現役世代の定義を「15歳から64歳まで」を「18歳から74歳まで」に変更すべきだと、10月23日に開催された健康保険組合全国大会で語ります。つまり、「75歳になるまでは働こう。そして年金支給は75歳からに。そうしないと国が持たないことを理解してください」ということです。

この流れに抗いようはなく、これからは職場を何度か変わり、“一個人の自分” や “素の自分” となって、新たな「人間関係」を作っていくことになるし、75歳で仕事からリタイアしても、他者や社会との関わりは、それから20年、25年と続きます。

自分が関わる「人間関係」は、職場(現組織・転職後組織の人達、取引先の人達)、社会(友人・知人、地域の人達)、そして家庭(配偶者・子供、親・兄弟、義理の親・兄弟)と多様です。その中でも、最も大事なのは「自分という人間との関係」です。人生がこんなに長くなっても、自分の替えは無いし、自分とは生涯付き合っていかなければならないからです。

次に、増々大事になってくるのが「パートナーとの関係」です。 職場の人達とは退職後いずれ疎遠になりますが、配偶者などのパートナーは生涯のお付き合い。それに自分の親・義理の親の介護や相続の問題が付いてきます。そのため、家庭や地域を顧みてこなかった会社人間や、男中心社会にノスタルジーを感じる男性陣は、50歳になったらパートナーとの会話をこれまでの二倍以上に増やしたほうがいいようです。想定外のしっぺ返しを招いて後悔しないためにも。

そして「自分という人間との関係」「パートナーとの人間関係」を築くには、時代観や価値観を学び直し、長い人生を気分良く生き抜いていけるように自分を立て直すことが不可欠です。そのためにはまず、『人生の成功者』を再定義し、『人生の目的』を定めることがとても重要となります。人生が圧倒的に長くなり、少し前の人生70年時代、ましてや人生50年時代とは、『成功者像』がまるで違ってきているからです。

「色々あったが、いい人生だった!」「とりわけ、パートナーには感謝したい」と最期に言って、旅立ちたい。そして縁あってこの世に生まれた、自分の生涯を生き切るのが人間としての究極の役割です。この役割を果たすためには、転換期となった “この世” の時代観や価値観を学び直し、長くなった “自分の生涯” を生き切るのを阻む三大不安を解消していくことが、何よりも大切だと思うのです。

ここで認識すべき重要なことは、「私達はとかく、自分を取り巻く変化を自分事として捉えない。変化に対して正面から向き合おうとしない。それゆえに、変化に適応する方策を積極的に講じたりはしない」ということです。その証左に、変化が現在進行形で起きている今、辛く悲しい現実が多く出現しています。

これからは、判断や選択する際の基準を、「いい人生だったと最期に思える」および「パートナーに感謝」とし、学び直し、自分を立て直していけば、「自分という人間との関係」や「パートナーとの関係」を築いていくことができます。少しの勇気をもって、今日から一歩踏み出していくことです。

これにて、「三大不安(お金・健康・人間関係)に向き合う」ブログを終わります。最後までお付き合い頂き、ありがとうございました、

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