■平成から「次の時代」を見る(8)

そうは思いたくありませんが、簡単には受け入れにくいですが、「自分達が働いている会社は、20年後にはなくなっているかもしれない」という時代が確実にやってきています。

例えば、自動車業界は、Connected(インターネットとの接続)・Autonomous(自動運転)・Shared(共同所有)・ Electric(電動化)で、様変わりしようとしています。

この大きな流れを受け、今年になってから、トヨタ自動車は、「自動車製造会社ではなく、モビリティ(移動)サービス事業者になる」という全面広告を打ち出しています。つまり、あのトヨタが、「クルマメーカーをやめる」と宣言しているのです。

そうなると、次のような事態が予測されます。

■エンジンを必要としない電気自動車は部品の点数が激減するので、多くの工場が不要になり、トヨタグループ37万人の従業員は激減することになる。

■カーシェアリングが当たり前になり、新車を購入するユーザーが激減するので、新車販売を手がけるディーラーは激減することになる。

自動運転により交通事故が激減するので、自動車保険を主な収入源としている損害保険業界の規模は激減することになる。

ガソリンスタンドも激減するので、石油元売り業界の規模は激減することになる。

ここで、以前に書いた、豊田章男社長の “年当の訓示” を思い起こしてください。


この訓示は、「日本の競争力を復活させ、いち業界やいち企業ではなく、日本全体が生き残るためには、絶対数が多く、様々な経験を積んだ40代・50代ミドル層がチャレンジ精神を持って、成長分野の産業に移動しなければならない。トヨタで働いているみなさんも、外で勝負できるプロになってください」ということを意味しています。

つまり、「時代環境を見極めると、“転職” を準備したほうが賢明だ」と言っていると、私は感じます。業界や企業を取り巻く環境が大きく変わり、日本を代表する自動車業界やトヨタでさえも、その例外ではないのです。

このように、様々な業界が、規模が激減したり、消えてなくなろうとしています。

その一方で、ITやセルフケアなど、どんどん成長している分野もあります。


成熟・衰退分野となっても、大手企業は多くの従業員を抱えたままです。そして、その8割の社員が、40代後半の時点で、昇進の限界に到達し、モチベーションが上がらず、頭打ちの状況になっています。では、どうしたらいいのでしょうか?

そうなると、「75歳になるまで、あるいはもっと先まで働く時代」の先頭集団となった、40代・50代のミドル世代にとって、強い味方となる『3つのS』が手に入ります。


「人間万事塞翁が馬」「禍福は糾える縄の如し」という格言は、令和を迎える今でも、力強く生きていて、8割の40代・50代にとって、不運とも思える状況を幸運に転じさせる「好機」=「時代がもたらすチャンス」が訪れているのです。

でも、幸運の女神に後ろ髪はありません。

ーー次回にーー

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